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老い先
「老い先〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
老い先の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
思いきったことをやりましたな。いいや、無理もござりますまい。のらくら者でしたが、
老い先かけて楽しみにしておったひとり子でござりますもの。それが消えてなくなったと....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
切腹もあるいは是非ないかも知れない。まさかにこの店さきを借用するとも云うまいが、
老い先のながい侍ひとりが、腹を切るというのを唯眺めているわけにも行かない、どうも....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
さえ見える妹の寝顔は、明滅する炎の前に幻のような不思議な姿を描き出す。この老人の
老い先をどんな運命が待っているのだろう。この処女の行く末をどんな運命が待っている....
「黴」より 著者:徳田秋声
れでもあり苦々しくもあった。笹村は自分の力を買い被られていることも、苦しかった。
老い先の短い田舎の母親、自分の事業、子供のことも考えなければならなかった。 「僕....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
どうぞもう一つ、お受け下さい――そうですか、息災にしておりましたか、われらはもう
老い先もありませんのでのう、ばばのやつめ、夢見が悪うてならぬが、何ぞ婿どのに変事....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
念より起りました事で、亡くなられましたオモヨ殿と、狂気された一郎殿の御痛わしさ。
老い先の短かい生命に代られるものならばと思うて、涙にかき暮れまするばかり……云々....
「源氏物語」より 著者:紫式部
も残すことのできないのはさすがに残念に思われます。ただ二人の子供がございますが、
老い先ははるかで待ち遠しいものです。失礼ですがあなたの手でこの家の名誉をお上げく....
「わかれ」より 著者:国木田独歩
にここにあり。否、君のみにあらず、われは一目見しかの旗亭の娘の君によく肖たると、
老い先なき水車場の翁とまた牛乳屋の童と問わず、みなわれに永久の別れあるものぞとは....
「光は影を」より 著者:岸田国士
けてくれと、まともに言い切る勇気はなかつた。それは、事実、感情の上からは、両親の
老い先を不安なく送らせるのが、当然の義務のようにも思われるのだが、それをあからさ....
「鈴が通る」より 著者:三好十郎
おらが悪い。おらが悪いんだからよ。 馬方 子供の可愛いいのは知れたこんだ。まして
老い先きの短けえ婆さまが伜にこがれるのは、誰だって察しが附いてら。だのによ、そう....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
て来う――本位田の隠居はの、旅先で、河原の権叔父とも死に分れ、白骨を腰に負うて、
老い先ない身をこうして旅にまかせているが、今では、むかしと違うて、気も萎えた。一....