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「老境〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

老境の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
息が漏れた。 身動きするのも憚《はばか》られるような気持で、眼を大きく開いて、老境の来たのを思わせるような母の後姿を見やりながらおぬいはいろいろなことを思い耽....
外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
かるところの、あの様々な不幸さえなかったならば、おそらくこの平和な生活は彼の深い老境にいたるまで続いたことであろう。 ペテルブルグには、年に四百ルーブル、また....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
察した。女の子が生れてすぐ死に、二番目の規矩男が生れたときは、父親は既にまったく老境に入って、しかも、永年の飲酒生活の結果は、耄けて偏屈にさえなっていた。女盛り....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
が赤い虎を従えている図をかかせて、それを町の店なかに懸けて置くこと数年、だんだん老境に入るにしたがって、毎日唯ぼんやりと坐ったままで、画ける虎をじっと見つめてい....
大脳手術」より 著者:海野十三
うが……」 「だがねえ鳴海。この世の中には、そういう商売も有っていいじゃないか。老境に入って手足が思うようにきかない。方々の機能が衰えて生存に希望が湧いてこない....
楢重雑筆」より 著者:小出楢重
というのは結構なことであると思います。 何事でも練習の必要な芸事ではすべてある老境に入らなくてはその芸には安心がならない、日本画などいうものでも、現在は気質が....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
う意である。この歌は皇子の歌よりも遜色があるので取立てて選抜しなかった。併し既に老境に入った額田王の歌として注意すべきものである。なぜ皇子の歌に比して遜色がある....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
。どうなっても、それを自然であらせたいね。こうやって活けた花をのどかに見ておれば老境もわるくはない。そうじゃあるまいか。」 鶴見は冗談だという風に見せかけて、....
三筋町界隈」より 著者:斎藤茂吉
たのである。それでも目ざめかかったリビドウのゆらぎは生涯ついて廻るものと見えて、老境に入った今でも引きつけられる対象としての異性はそのころのリビドウの連鎖のよう....
可能性の文学」より 著者:織田作之助
、いちはやく造型美術的完成の境地に逃げ込もうとする文学である。そして、彼等はただ老境に憧れ、年輪的な人間完成、いや、渋くさびた老枯を目標に生活し、そしてその生活....
作画について」より 著者:上村松園
。 「序の舞」は政府のお買上げになったもので、私の「草紙洗小町」「砧」「夕暮」の老境に入っての作の一画をなす、いわば何度目かの画期作とも言うべきものでありましょ....
瘠我慢の説」より 著者:木村芥舟
|何ぞ予を愛するの深くして切なるや。予何の果報ありて、かかる先生の厚遇を辱うして老境を慰めたりや。要するに、予の半生将死の気力を蘇し、やや快くその光陰を送り、今....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
れなれ月をながめて年を経にける 雲消ゆる那智の高根に月たけて光を貫ける滝のしら糸老境の歌、 年たけてまた越ゆべしと思ひきや命なりけり小夜の中山 さびしさに堪へた....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
うと四十過ぎまでは、何の存在も認められなかった人が、中年からそろそろ活動を始め、老境に入るに従っていよいよ冴えて来たという人もあります。 それからまた、若い時....
三百年後」より 著者:小倉金之助
三百年後 小倉金之助老境にはいると、若い時分のような楽みが、だんだんと無くなって来る。殊に近頃の御時....