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老婢
「老婢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
老婢の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
障子を少し開けひろげた。 午前の陽は流石《さすが》に眩《まぶ》しく美しかった。
老婢が「とろろ汁が出来ました」と運んで来た。別に変った作り方でもなかったが、炊《....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
た。わたしは遠慮なしにそのあとについて行くと、老人は先に立って格子をあけた。 「
老婢《ばあや》。お客様だよ」 私はいつもの六畳に通された。それから又いつもの通....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
」 いつもの座敷へ通されて、年頭の挨拶が式《かた》のごとくに済むと、おなじみの
老婢《ばあや》が屠蘇の膳を運び出して来た。わたしがここの家で屠蘇を祝うのは、この....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
飲んで食って、踊りの家台の噂などをしていたが、雨はだんだん強くなるばかりで、家の
老婢があわてて軒提灯や飾り花を引っ込めるようになって来た。町内の家台囃子の音も沈....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
類にも顔向けが出来ない。きっとこの恨みは晴らしてやるというようなことを、仲のいい
老婢に泣いて話したそうだ」 「まあ、可哀そうだわねえ」と、文字春も眼をうるませた....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
である。それがめずらしく旅行したということで、わたしが訪ねたときは留守であった。
老婢の話によると、宇都宮の在にいる老人の甥の娘とかが今度むこを取るについて、わざ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
。 十月六日の朝は陰っていた。もう女房のない七兵衛は雇い婆のお兼に云った。 「
老婢、どうだい、天気がおかしくなったな」 「なんだか時雨れそうでございます」と、....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
なにしろ前に云ったような獲物だからお話にならない。浅蜊はとなりの家へやって、鰈は
老婢とふたりで煮て食ってしまったというのであった。 きのうの不出来は例外である....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いう兄がある。両親も揃っている。店の若い衆が二人と小僧が三人、ほかにはお広という
老婢と、おすみという若い下女がいる。店がかりは派手でないが、手堅い商売をして内証....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
のは春のたそがれ近くである。花に匂いもない黄楊の枝が触れている呼鈴を力なく押す。
老婢が出て来て桟の多い硝子戸を開けた。わたくしはそれとすれ違いさま、いつもならば....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
よりに、尋ねたずねて行き着くと、庭は相当に広いが、四間ばかりの小さな家に、老人は
老婢と二人で閑静に暮らしているのであった。 「やあ、よくおいでなすった。こんな処....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
かの手落ちがあってはならないと台所の方へ見まわりに行きますと、お料理はお杉という
老婢が受持ちで、ほかの男や女中たちを指図して忙しそうに働いていましたが、祖母の顔....
「慈悲心鳥」より 著者:岡本綺堂
げて、すたすたと玄関の方へ出て行ってしまった。森君は三十|幾歳の今年まで独身で、
老婢ひとりと書生一人の気楽な生活である。雑誌などへ時どき寄稿するぐらいで、別に定....
「高原の太陽」より 著者:岡本かの子
籠っている未完成らしい娘だった。 「年頃のお嬢様のような『気』もなくって……」と
老婢は時々意味|有気に云った。 同じく都会に育って、灰汁抜けし過ぎた性質から、....
「春」より 著者:岡本かの子
取り、何かまたすこし口籠りながら呟くと元のように、首を左右に振り続ける。附き添う
老婢のものごし、服装の工合。何処か中流以上の家庭の若夫人ででもあるらしい。 そ....