老実[語句情報] » 老実

「老実〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

老実の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
かり使わないで、ちっと立って食うものの心配でもしろ。民はどうした、あれは可い。小老実に働くから。今に帰ったら是非酌をさせよう。あの、愛嬌のある処で。」 「そんな....
朱日記」より 著者:泉鏡花
申合わせまする事で。」 と対向いの、可なり年配のその先生さえ少く見えるくらい、老実な語。 「加減をして、うめて進ぜまする。その貴方様、水をフト失念いたしました....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
。」と洋画家が、煙草の濃い烟の中で。 「貴女方の御庇です……敬意を表して、よく小老実に働きますよ。」と民弥が婦人だちを見向いて云う。と二人が一所に、言合わせたよ....
近時政論考」より 著者:陸羯南
多くかの翻訳的論派に動かされたり。しかしてかの折衷的論派は関の東西を問わずおよそ老実の思想を有する者みなこれを標準とせしものに似たり。十年以後一、二年間政論の全....
運命」より 著者:幸田露伴
崩ず。蓋し疑う可きある也。永楽帝既に崩じ、建文帝|猶在り、帝と史彬と客舎相遇い、老実貞良の忠臣の口より、簒国奪位の叔父の死を聞く。世事測る可からずと雖も、薙髪し....
二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
も右くにも文部省が功労者と認めて選奨した坪内博士、如何なる偏見を抱いて見るも穏健老実なる紳士と認めらるべき思想界の長老たる坪内氏が、経営する文芸協会の興行たる『....
貧乏」より 著者:幸田露伴
度持って七度出したが、こんな酒はまだ呑まなかった。 「何だネエ汝は、朝ッぱらから老実ッくさいことをお言いだネ。 「ハハハ、そうよ、異に後生気になったもんだ。寿命....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
継母眉を顰め、その重宝なるもの投ぐることかは、磨りおろして汁をこそ飲むべけれと、老実だちてわれに言えりしことあり。 さる継母に養わるる姉上の身の思わるるに、い....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
の世話をさせられて、迷惑であるがごとき思いがした。 且つその身体を棄てもせず、老実やかに、しんせつにあしらうのが、何か我ながら、身だしなみよく、床しく、優しく....
黒百合」より 著者:泉鏡花
から、旧は好事でこんなに仕懸けました。鶯張と申すのでございますよ。」 小間使が老実立っていうのを聞いて、滝太郎は恐入った顔色で、 「じゃあ声を出すんだろう、木....
蛇性の婬 」より 著者:田中貢太郎
って宜い気もちじゃないか」 「宜い気もちじゃありませんよ、あなたは、ここの旦那を老実な方だと云いましたが、どうしてそうじゃありませんよ、私が東厠へ往ってると、後....
次郎物語」より 著者:下村湖人
なところである。敷地は約五千|坪、そのうち半分は、すぐにでも菜園につかえる。さる老実業家が自分の隠居所を建てるつもりで、いろいろの庭木なども用意し、ことに、千本....
怪獣」より 著者:岡本綺堂
氷垣が立去ると、入れ代って旅館の番頭が来た。これは氷垣とは違って、見るからに老実そうな五十余歳の男であったが、その来意は氷垣と同様で、家の娘が途中で種々の御....
春昼後刻」より 著者:泉鏡花
染みたのである。 出家は、さて日が出口から、裏山のその蛇の矢倉を案内しよう、と老実やかに勧めたけれども、この際、観音の御堂の背後へ通り越す心持はしなかったので....
註文帳」より 著者:泉鏡花
んだよ、なあ、お勝さん、」と振向いて呼んでみたが、 「もうお出懸けだ、いや、よく老実に廻ることだ。はははは作平さん、まあ、話しなせえ、誰も居ねえ、何ならこっちへ....