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老年
「老年〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
老年の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
心を買い、翌月の小遣いを捲《ま》き上げようとした。就中《なかんずく》彼に甘かった
老年の母に媚《こ》びようとした。勿論《もちろん》彼には彼自身の嘘も両親の嘘のよう....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
みのしっかりした、むしろいかついという体格で、皮のたるんだ手や足にも、どこかまだ
老年に抵抗する底力が残っている。これは顔でも同じことで、下顎骨《かがくこつ》の張....
「鼻」より 著者:芥川竜之介
る音が、うるさいほど枕に通《かよ》って来た。その上、寒さもめっきり加わったので、
老年の内供は寝つこうとしても寝つかれない。そこで床の中でまじまじしていると、ふと....
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
ども今、冷やかな山懐の気が肌《はだ》寒く迫ってくる社の片かげに寂然とすわっている
老年《としより》の巫女を見ては、そぞろにかなしさを覚えずにはいられない。
私は....
「或る女」より 著者:有島武郎
に、いつのまにか下級船員の間にも不思議な勢力になっていた。航海の八日目かに、ある
老年の水夫がフォクスルで仕事をしていた時、錨《いかり》の鎖に足先をはさまれて骨を....
「或る女」より 著者:有島武郎
らが葉子には笑いの種《たね》となった。自分たちの向こう座にしかつめらしい顔をして
老年の夫婦者がすわっているのを、葉子はしばらくまじまじと見やっていたが、その人た....
「富士」より 著者:岡本かの子
む山は、はじめは養いの親であり、次には師であり、年頃になれば睦ぶ配偶でもあった。
老年には生みの子とも見做される情愛が繋がれた。死ぬときには山はそのまま墓でもあっ....
「親子」より 著者:有島武郎
引き下がると、一種の気まずさをもって父と彼とは向かい合った。興奮のために父の頬は
老年に似ず薄紅くなって、長旅の疲れらしいものは何処にも見えなかった。しかしそれだ....
「海底大陸」より 著者:海野十三
した。それは大きな広間であって、シムトン会長のほかに、一見、学者だとわかる中年、
老年の紳士が集まっていた。かれらは大声でさかんになにごとか論じていたようであった....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
ないかね。」 「そりゃ……色恋の方ですけれど……慾の方となると、無差別ですから、
老年はなお烈しいかも知れません。 分けてこの二三日は、黒焼屋の蛇が売れ盛るって....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
まったのだ。私は突然自分の残生のほうを見ようとして振返ってみた。私は醜い、淋しい
老年と、間近に迫っている老衰とを見た。そして、すべてはそれで終りなのだ、それで何....
「丹那山の怪」より 著者:江見水蔭
修繕とかに、主君から補助金を下げられるように、取り成しをしなければならなくなる。
老年の者でも、ついこれには引掛かるのだから、若い者はよくよくそこを考えて、謹慎し....
「誓之巻」より 著者:泉鏡花
様はとてもいけないって云いました、新さん、私ゃじっと堪えていたけれどね、傍に居た
老年の婦人の方が深切に、(お気の毒様ですねえ。) といってくれた時は、もうとて....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
屋の談志の物真似テケレッツのパアは寄宿舎の評判であった。嵯峨の屋は今は六十何歳の
老年でマダ健在であるが、あのムッツリした朴々たる君子がテケレッツのパアでステテコ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
録といえば先刻から皆目姿を見せないが、ははあ、疲れてどこかで眠ったものと見える。
老年というものはええ! 埒の明かぬ。と呟きつつ高田に向い、「どうせ横紙破りの祝言....