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老母
「老母〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
老母の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
病気が重《おも》る事は知れきっていた。それを知りながらU氏は御祈祷を頼みにして、
老母と二人の子供との生活を続けるために、勇ましく飽《あ》くまで働いた。そして病気....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
れからだ」 左側《さそく》の席の前端《まえはし》に並びたる、威儀ある紳士とその
老母とは、顔を見合わせて迭《たが》いに色を動かせり。渠は質素なる黒の紋着きの羽織....
「老妓抄」より 著者:岡本かの子
ている人間に若い男が一人いる、遊びに行かなくちゃ損だというくらいの気持ちだった。
老母が縁もゆかりもない人間を拾って来て、不服らしいところもあった。 みち子は柚....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
であるが、身持ちのよくない人間で小|博奕も打つ男である。料理屋といっても、家には
老母と小女がいるきりなので、お杉はどんなふうに頼み込んだか知らないが、その家を逢....
「紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
も飾りもないありさまである。 若夫婦は四、五年東京に出ているところへ、三年前に
老母がなくなり、この一月また八十五歳の父が永眠した。姉夫婦はたしか六十に近いだろ....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
床の人となった。乳飲み児はその母の乳が飲めなくなった。その上、僕ら二人の留守中に
老母がその孫どもに食べ過ぎさせたので、それもまた不活溌に寝たり、起きたりすること....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
せた。 「わたしの代りにあなたの命を取っても仕方がありません。わたしの亡い後に、
老母や幼な児の世話をして下さるというならば、わたしは自分の粗相で滑り落ちたと申し....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
つことが出来ないなどと、ひどく悲観したようなことを書いて来た。 赤座の実家には
老母と妹がある。このふたりの女は無論に○○教の信仰者で、右ひだりから無理に彼をお....
「錦紗」より 著者:犬田卯
て土間から声をかけて来た。 「何だか。……どうしたんだか。」あまりに蒼い娘の顔に
老母はびっくりしたのである。「あいよ、どうしたんだよ。腹でもいたいのか。」 「う....
「瘤」より 著者:犬田卯
の女中を置いて、一町八反の自作――それが親父のやって来た家業であったが、覚束ない
老母の計算を基盤に収支を出してみると、明らかに年二百円の損失であった。そこへもっ....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
生活がはじまったのであった。十四になる息子は東京へ奉公に出してしまい、よぼよぼの
老母は隠居家へ押しこめてしまって、そして彼女は鍬を棄てたばかりでなく、何よりもま....
「画道と女性」より 著者:上村松園
。 余技に対する解釈に就いて 私はたいてい身体は丈夫な方です。これは
老母譲りだろうと思っているが、
老母は中風で昨今は寝込んでいる。けれど、私の母は非....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
座に着いた。 「灯をね、」と顔をさし寄せて、令夫人は低声でいう。 夕暮の徒然、
老母も期せずしてこの処に会したので、あえて音楽に関して弟子に対する他は、面会日が....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
すったそうですからね、継はぎさ、――もう御新造さんはとうに亡くなって、子一人、お
老母さん一人の男やもめ――そのお媼さんが丹精の継はぎの膝掛を刎ねて、お出迎え、と....
「子供の霊」より 著者:岡崎雪声
てしまったのだ。夜が明けると、私は早速今朝方見た、この不思議なものの談を、主人の
老母に語ると、
老母は驚いた様子をしたが、これは決して他人へ口外をしてくれるなと、....