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「老熟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

老熟の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
死生」より 著者:幸徳秋水
如き其最も著しき例である、文学・芸術の如きに至っても、不朽の傑作たる者は其作家が老熟の後よりも却って未だ大に名を成さざる時代の作に多いのである、革命運動の如き、....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
前にいったような方法を取るのである。 海和尚、山和尚 潘なにがしは漁業に老熟しているので、常にその獲物が多かった。ある日、同業者と共に海浜へ出て網を入れ....
文壇の趨勢」より 著者:夏目漱石
のため、目を通して見る。ところが年一年と日を経るに従って、みんな面白い。だんだん老熟の手腕が短篇のうちに行き渡って来たように思われる。妙な比較をするようだけれど....
死刑の前」より 著者:幸徳秋水
しい例である。文学・芸術などにいたっても、不朽の傑作といわれるものは、その作家が老熟ののちよりも、かえってまだ大いに名をなしていない時代に多いのである。革命運動....
小春」より 著者:国木田独歩
またリウクを誘うた浮世の力に誘われたのだ。 そして今も今、いと誇り顔に「われは老熟せり」と自ら許している。アア老熟! 別に不思議はない、 『人は歳月の谷間へと....
レンブラントの国」より 著者:野上豊一郎
「ピエタ」を見て、それが二十三歳の時の彫刻だということを思い出した時、天才の魂の老熟に心を奪われたが、同じ驚嘆はレンブラントの「解剖講義」に対しても押し包むこと....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
そんな考を運らして見た。アナトオル・フランスの幾巻かを成す幼年物は、晩年も晩年、老熟し切った文芸の畑の土壌に培われた作品である。おおよその人が老年になって、往事....
地上」より 著者:島田清次郎
われて来た。彼は六十であった。人間としての活力は衰えかけていたが、ある種の知恵は老熟していた。彼は夢からさめたように全体を見廻した。どうにかしなくてはならないと....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
て感服されてるが、いずくんぞ知らん馬琴は忠臣孝子よりは悪漢淫婦を描くにヨリ以上の老熟を示しておる。『美少年録』が(未完成ではあるが)代表作の一つである『弓張月』....
俳人蕪村」より 著者:正岡子規
色を現わして一句だに他人の作とまごうべくもあらず。天稟《てんぴん》とは言いながら老熟の致すところならん。 天然美に空間的のもの多きはことに俳句においてしかり。....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
の外交役となってから益々練磨された。晩年変態生活を送った頃は年と共にいよいよ益々老熟して誰とでも如才なく交際し、初対面の人に対してすらも百年の友のように打解けて....
鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
を失ったのは芸苑の恨事であった。 鴎外は早くから筆蹟が見事だった。晩年には益々老熟して蒼勁精厳を極めた。それにもかかわらず容易に揮毫の求めに応じなかった。殊に....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
よりもヨリ以上何物をも加えなかった。加之ならず『浮雲』の若々しさに引換えて極めて老熟して来ただけそれだけ或る一種の臭みを帯びていた。言換えると『浮雲』の描写は直....
徒歩旅行を読む」より 著者:正岡子規
ったが、その文章は全く幼稚で別に評するほどのものではなかった。独り楽天の文は既に老熟の境に達して居てことさらに人を驚かすような新文字もないけれどそれでありながら....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
み出して行く」という教理と実行とを説いたものであります。維摩、勝鬘の二経は、一は老熟の男性の口を藉り、一は妙齢婦人の言葉を藉りて、勇敢なる生活の理想化を獅子吼さ....