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「老父〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

老父の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
父をさしおき先を争うて庭へまわった。なくなられたその日までも庭の掃除はしたという老父がいなくなってまだ十月にもならないのに、もうこのとおり家のまわりが汚なくなっ....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
ガタガタと開いて、ぎごちない恰好で現れたのは、今年五十九歳になる、両眼の不自由な老父だった。 「お父さん、危いわよ」 真弓が立って、気の毒な父の手をとった。 ....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
内心では案外、寸刻の間も、自分の息子の上にいたわりの眼を離さないのかも知れない。老父が青年の息子と二人で、春の夜、喫茶店に連れ立って来るなどという風景も、気をつ....
河明り」より 著者:岡本かの子
もう、よろしいじゃございませんか、お話しは、また、この次に……」 と云ったが、老父は、 「いや、そうじゃございません。手前は明日が明日からまた寝込んでしまって....
忘れえぬ人々」より 著者:国木田独歩
啼いているのが微かに聞こえるのでわかる。田畑ある島と知れけりあげ雲雀、これは僕の老父の句であるが、山のむこうには人家があるに相違ないと僕は思うた。と見るうち退潮....
碁の手直り表」より 著者:菊池寛
入院の準備を始めていた。そして、入院したら暫く会えないことを憂いてか、大阪にいる老父を訪ねて行った。帰って来たのは、六日か七日である。 八日の晩に会ったとき、....
富岡先生」より 著者:国木田独歩
いで往ってみると、村長は最早座に居て酒が初まっていた。梅子は例の如く笑味を含んで老父の酌をしている。 「ヤ細川! 突如に出発ので驚いたろう、何急に東京を娘に見せ....
化鳥」より 著者:泉鏡花
の、それはあすこに置物のように畏っている、あの猿――あの猿の旧の飼主であった――老父さんの猿廻だといいます。 さっき私がいった、猿に出処があるというのはこのこ....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
、鎌を持つ右の手の薬指の附根に肉刺をこしらえてしまった。 鶴見は元来若い時には老父の手助けになって、庭の整理ならかれこれと何でもやって来たので、大抵の事には心....
贋物」より 著者:葛西善蔵
ころで、惣治は兄に向ってこう言った。気まぐれな兄の性質が考えられるだけに、どうせ老父の家へ帰ったって居つけるものではないと思ったのだ。 「しかし酒だけは、先も永....
判決」より 著者:カフカフランツ
の食器を片づけ、それを箱の上にのせた。 「じつはお父さんにお話があるんです」と、老父の動きをぼんやりと目で追いながらゲオルクは言葉をつづけた。「やはりペテルスブ....
」より 著者:岡本かの子
った。そこであのあたりなおも処々尋ね廻り、きくところによると、あやつ、芸人上りの老父と心を合せ、同じ夫狐救い出しの狡計で、ほかに欺いた人も少なからずあるらしいと....
呼ばれし乙女」より 著者:岡本かの子
私は家を取締っているし、あんたよりほかだめだと思ってだわ」 事実、千歳の家では老父と姉妹の三人のほか家族として誰もいなかった。 「病気して、お金にでも困ってい....
押しかけ女房」より 著者:伊藤永之介
の多くは佐世保近くの上陸地から自家に電報を打つたが、佐太郎は神経痛で足の不自由な老父をわずらわせる気にならず、何の前触れもしなかつた。だから迎えられないのは当然....
死児を産む」より 著者:葛西善蔵
逃げだしてき、その解決方に自分から鎌倉に出向いて行ったところ、酒を飲んでおせいの老父とちょっとした立廻りを演じ、それが東京や地方の新聞におおげさに書きたてられて....