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「老眼鏡〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

老眼鏡の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
温泉だより」より 著者:芥川竜之介
はわたしよりもむしろ「な」の字さんです。「な」の字さんはカメラをぶら下げたまま、老眼鏡《ろうがんきょう》をかけた宿の主人に熱心にこんなことを尋《たず》ねていまし....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
せらるべく候か。」 「お母さんはどっち枕だえ?」 叔母は半ばたしなめるように、老眼鏡の眼を洋一へ挙げた。 「東枕《ひがしまくら》でしょう。この方角が南だから。....
少年」より 著者:芥川竜之介
《そうそう》母のところへ彼の作品を見せに行った。何か縫《ぬい》ものをしていた母は老眼鏡の額越《ひたいご》しに挿絵の彩色へ目を移した。彼は当然母の口から褒《ほ》め....
手紙」より 著者:芥川竜之介
君やS君と温泉宿の後ろにあるY山へ登りに行ったはずです。この奥さんは僕を見ると、老眼鏡《ろうがんきょう》をはずして挨拶《あいさつ》しました。 「こちらの椅子《い....
ろまん灯籠」より 著者:太宰治
んか!」 「泣かなくてもいいじゃないか。馬鹿だね。どれどれ。」と祖母は帯の間から老眼鏡を取り出し、末弟のお伽噺《とぎばなし》を小さい声を出して読みはじめた。くつ....
季節の植物帳」より 著者:佐左木俊郎
いい南の廊下で、暖かい陽光《ひかり》を浴びて咲き輝いている鉢植えの福寿草を前に、老眼鏡をかけて新聞を読んでいるのや、北海道辺の新開地の農夫が、木の根の燻《い》ぶ....
岩石の間」より 著者:島崎藤村
込むという風であった。 「正木さん、一寸この眼鏡を掛けて御覧なさい」 「まだ私は老眼鏡には早過ぎる――ヤ、これは驚いた――こう側へ寄せたよりも、すこし離した方が....
愛と美について」より 著者:太宰治
は小さく、口が大きくひきしまり、眉間に皺、白い頬ひげは、ふさふさと伸び、銀ぶちの老眼鏡をかけ、まず、丸顔である。」なんのことはない、長兄の尊敬しているイプセン先....
帰去来」より 著者:太宰治
当こんでいた。私と北さんは、通路をへだてて一つずつ、やっと席をとった。北さんは、老眼鏡を、ひょいと掛けて新聞を読みはじめた。落ちついたものだった。私はジョルジュ....
火星探険」より 著者:海野十三
の餞別品の中から二つ三つ奇抜なものを紹介すると、トミーという少年は、おじいさんの老眼鏡のレンズを利用して手製した不恰好なカメラを贈ってくれた。そしてもしアリゾナ....
厄年と etc.」より 著者:寺田寅彦
色の表面色が或るアニリン染料を思い出させたりした。 またある日私の先輩の一人が老眼鏡をかけた見馴れぬ顔に出会した。そして試みにその眼鏡を借りて掛けて見ると、眼....
蔵の二階」より 著者:豊島与志雄
ら時間がかかっても構わない。間違いさえなければよいのである。この写経には、彼女は老眼鏡をかけ、白昼でも必ず電燈をつける。いや白昼に限るのであって、夜分は決して写....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
れでその言葉がかれの口を衝いて洩れてくる。老刀自はまたかと思って、取り合わずに、老眼鏡をかけて針のめどに糸を通そうとして熱中している。 鶴見はなお思いつづけな....
次郎物語」より 著者:下村湖人
敷に画仙紙をひろげて、絵を描いているところだったが、恭一と次郎とが挨拶に行くと、老眼鏡を隆い鼻先にずらして、じろりと二人の顔を見た。そして、 「ほう、来たな。よ....
春泥」より 著者:久保田万太郎
とが出来るものかと長い間強情を張りぬいたあと、とうとう負けてこの冬からかけ出した老眼鏡を出してかけ、いそがしくまたかれは新聞を取上げた。 ……その通りだ。おま....