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老舗
「老舗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
老舗の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「みちのく」より 著者:岡本かの子
寄りのF――町の表通りに、さまで大きくはないがしっかりした呉服店《ごふくてん》の
老舗《しにせ》があった。お蘭《らん》という娘《むすめ》があった。四郎はこの娘が好....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の娘お袖が母のお琴と女中のお由と、三人連れで氷川神社に参詣した。関口屋はここらの
老舗《しにせ》で、ほかに地所|家作《かさく》も持っていて、小僧二人のほかに若い者....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ので、与兵衛は自分が責任を帯びて、その金を調達すると請け合った。但し旧家といい、
老舗といっても、丸多の店の有金を全部をかき集めても二、三千両に過ぎない。そのほか....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
その隣り町に菊一という小間物屋があって、麹町の大通りの菊一と共に、下町では有名な
老舗として知られていた。半七は顔を識っている番頭をよび出して、この三日の日に南京....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
ぞれ送って貨車に積み、広く日本全国へ発送するのだった。長造は昔ながらの花川戸に、
老舗を張っていた。長男の黄一郎は、思う仔細があって、東京一の盛り場と云われる新宿....
「古狢」より 著者:泉鏡花
った。 市場を出た処の、乾物屋と思う軒に、真紅な蕃椒が夥多しい。……新開ながら
老舗と見える。わかめ、あらめ、ひじきなど、磯の香も芬とした。が、それが時雨でも誘....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
ただ憧憬に、家さえ、町さえ、霧の中を、夢のように※った。――故郷の大通りの辻に、
老舗の書店の軒に、土地の新聞を、日ごとに額面に挿んで掲げた。表三の面上段に、絵入....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
石も蒼黒い苔のころもに隙き間なく包まれていた。一種の湿気を帯びた苔の匂いが、この
老舗の古い歴史を語るようにも見えた。 「好い石燈籠だ。近頃にこれをいじりましたか....
「方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
さいしょの養子は間もなく死に、二度目の、いまの謙吉は事業慾がつよく、連綿とした、
老舗を畳んでセロハン会社などをやっていた。 それは、謙吉に時世をみる眼があった....
「神経」より 著者:織田作之助
ましてん。元日から店びらきしょ思て、そら天手古舞しましたぜ」 場所がいいのか、
老舗であるのか、安いのか、繁昌していた。 「珈琲も出したらどうだね。ケーキつき五....
「画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
店でも家宝とする立派な屏風を、祇園祭りの間中店に飾ります。代々つづいている大きな
老舗では、誠に立派な屏風を持っております。「お屏風拝見」といえば、どこの店でも快....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
棲むもある、ある者は博学の秀才として世に時めくもある。大商人として燕京のまん中に
老舗を構えているものもある。ほかには僧もある、道士もある。漁師もある、百姓もある....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
従姉だという、雪国の雪で育った、色の抜けるほど白い、すっきりとした世話女房、町で
老舗の紅屋の内儀……お悦という御新姐が、 「段々降って来るのに――勝手になさい。....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
家は今でも馬喰町に繁昌している。地震の火事で丸焼けとなったが、再興して依然町内の
老舗の暖簾といわれおる。 椿岳の米三郎は早くから絵事に志ざした風流人であって、....
「生きている看板」より 著者:小川未明
凝らして、いいものを描いてくれと頼まれたのです。 その菓子屋というのは、町での
老舗でありましたから、女房は喜んで、 「おまえさん、いいものを描いて、評判をとっ....