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老農
「老農〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
老農の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「さようなら」より 著者:田中英光
にしたヤンマ蜻蛉《とんぼ》を、彼のいかつい土色の鼻の頭にとまらせた処、全身不随の
老農夫は冷たい瞳に怒りだけを示し、縺れる舌で「ほたえな」(ふざけるなとの方言)と....
「島原の乱」より 著者:菊池寛
百中と云う程で、人呼んで懸針金作と称した位である。 銃の名手丈でなく大斧を揮う
老農があるかと思えば、剣法覚えの浪士が居る。こうした油断のならない一揆の群が何処....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
けの付いた、大きな煙草入をぶらさげていた。K君はその隠居を指して、この辺で第一の
老農であると私に言って聞かせた。隠居は、何か思い付いたように、私達の方を振返って....
「野狐」より 著者:田中英光
。その娘たちに感じていた愛情が、桂子の上に爆発したのだ。 十六、七の頃、近くの
老農に犯されようとしたり、医者の息子に追いかけ回されたという彼女。十九の年、田舎....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
「おゝ神よ、吾をしてこの春に会うを得せしめ給うを感謝す」と畑で祈ると云う露西亜の
老農の心もちには、中々東京附近の百姓はなれぬ。
否でも応でも境遇に我等は支配さ....
「北へ行く」より 著者:宮本百合子
ンチの上で揺られながら考えた。この四角い帽子をいただいた二つの頭は、果して新しき
老農夫を満足し啓蒙するだけの知識をもっていながら、彼等が余りエレガントであるため....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
て、それで与八のが特別によく育って、よく実るのが不思議でありました。 ある時、
老農がこの話を聞いて、与八の仕事ぶりを、わざわざその畑まで見に来て、 「なるほど....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
で、ザーミ・ヴィッチという名前だった。ごく背が高く、痩せていて、頭を少しかがめ、
老農夫みたいな真面目《まじめ》な無髯《むぜん》の顔だった。彼はごく信心深かった。....
「安吾武者修業」より 著者:坂口安吾
刀を握って育ったのだから、いったん太刀を握って構えるや、野良の匂いのプンプンする
老農夫が、突如として眼光鋭く殺気みなぎる剣客に変るから面白い。曲った腰がピンと張....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
見れば分らんことはない。因果物の見世物小屋の看板向き。 「田園交響楽」 一人の
老農夫の肩に女の子が乗っかってオッパイをだして手をひろげている。腰に猫がのッかり....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
速産地埼玉県庁に照会して、時の産業課長近藤氏の賛助を得、農会長の肝いりで十二人の
老農を選択してもらい、一等米より二割高で引き取ることを約束して、白目米三百俵の栽....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
横をスルスルと通る者があった。 一閃! 刀光! 「わ、わ、わ、わ、わ――ッ」
老農夫は斃れ動かなくなった。 向こうでも切られこっちでも切られた。 人々は戸....
「おりき」より 著者:三好十郎
さいフロシキ包みを下げ、白粉気の無い白い顔が引きしまり、沈んだ眼の色。……二人は
老農婦が此処で働いている事をよく知っていてやって来たもののようで、直ぐに百姓と青....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
人の来訪者なく、寂寥たるありさまなり。左の二首はそのときの所感を写す。 遥訪車、
老農猶守古賢廬、壁間留得林檎影、知是千秋不朽書。 (はるかにぽつんとある村を訪ね....
「ロザリオの鎖」より 著者:永井隆
の色の波の中に座って、私の声も妻の声も、たどたどしい幼な子の声も、隣に座っている
老農夫のだみ声も、ひとつの声となって、天にまします我らの父を賛美し奉った。あんな....