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耄
「耄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
耄の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
ものじゃ。が、とてもの事に、その方どもは、予が車を警護|旁《かたがた》、そこな老
耄《おいぼれ》を引き立て、堀川の屋形《やかた》まで参ってくれい。」
こう仰有《....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
蘭袋《まつきらんたい》に紛《まぎ》れなかった。もう一人の僧形は、見る影もなく病み
耄《ほう》けていたが、それでも凛々《りり》しい物ごしに、どこか武士らしい容子《よ....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
嵌《はま》り役じゃ。おれは眇《びょう》たる一|平家《へいけ》に、心を労するほど老
耄《おいぼ》れはせぬ。さっきもお前に云うた通り、天下は誰でも取っているが好《い》....
「或る女」より 著者:有島武郎
うにこうした言葉がつぶやかれるのを、葉子はさびしい心持ちで聞かねばならなかった。
耄碌《もうろく》したと自分ではいいながら、若い時に亭主《ていしゅ》に死に別れて立....
「星座」より 著者:有島武郎
ているおせいはさすがに父が哀れになった。五十二というのに、その人は六十以上に老い
耄《ぼ》けていた。これほどの貧乏に陥るのももとはといえば何んといっても父の不精か....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
、祖母《としより》が何か二ツ三ツ口を利くと、挙句《あげく》の果《はて》が、 「老
耄婆《もうろくばばあ》め、帰れ。」 と言って、ゴトンと閉めた。 祖母《としよ....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
を引掛けた寝白粉の処班らな若い女がベチャクチャ喋べくっていた。煤だらけな顔をした
耄碌頭巾の好い若い衆が気が抜けたように茫然立っていた。刺子姿の消火夫が忙がしそう....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
、金だ。何うも女ってものは老者の再生だぜ。若死したものが生れ代ると男になって、老
耄が生れ代ると業で女になるんだ。あり相で居て、色気と決断は全然無しよ、あるものは....
「転機」より 著者:伊藤野枝
Tという爺さんがまた非常に人が好いんだよ。それにもう死ぬ少し前なんかにはすっかり
耄碌して意気地がなくなって、僕なんか会ってても厭になっちゃったがね。少し同情する....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
聞えたが、ちと覚束なさそうな響が籠った。 「ああ、しばらく、一旦の御見、路傍の老
耄です。令嬢、お見忘れは道理じゃ。もし、これ、この夏、八月の下旬、彼これ八ツ下り....
「薬」より 著者:井上紅梅
って幌を下げ、その中へ饅頭を詰めて老栓の手に渡し、同時に銀貨を引掴んで 「この老
耄め」 と口の中でぼやきながら立去った。 「お前さん、それで誰の病気をなおすん....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
も、好い加減におし。お前は私を何だと思っているのだえ。私はまだお前に欺される程、
耄碌はしていない心算だよ。早速お前を父親へ返せ――警察の御役人じゃあるまいし、ア....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
ばらを十回も蹴りつけて、一気に橋を駈けわたろうとした。ところが、このつむじ曲りの
耄碌馬は、前に進むどころか、横へそれて、垣根にわきばらをぶつけてしまった。イカバ....
「山吹」より 著者:泉鏡花
……早い処が、はい、この八ツ目|鰻の生干を見たような、ぬらりと黒い、乾からびた老
耄も、若い時が一度ござりまして、その頃に、はい、大い罪障を造ったでござります。女....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
にぽかんとすると、 「一口、めしあがりますか。」 「何の事です、それじゃ狒々の老
耄か、仙人の化物になる。」 と言ったんだから可恐しい。 狸穴の狸じゃないが、....