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耕す
「耕す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
耕すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
じくり回していた。何事にまれ真剣な様子を見せつけられると、――わき目もふらず畑を
耕す農夫、踏み切りに立って子を背負ったまま旗をかざす女房《にょうぼう》、汗をしと....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
きっとそこには、冬眠生理でもあるような人間がいるだろう。ながい冬は眠り、短い春は
耕す――そういう世界にこそユートピアはあるのだ。
君よ、悠久うごかぬ雲に覆われ....
「俊寛」より 著者:菊池寛
、毎日暮していた。俊寛は、そうした生活を改め、自分で漁りし、自分で狩りし、自分で
耕すことを考えた。 彼は、そういう生活に入る第一歩として、成経や康頼の記憶がつ....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
び廻っている。かぎろいの春の光、見るから暖かき田圃のおちこち、二人三人組をなして
耕すもの幾組、麦冊をきるもの菜種に肥を注ぐもの、田園ようやく多事の時である。近き....
「パルチザン・ウォルコフ」より 著者:黒島伝治
は、煙の中を逃げ出して来る短衣やキャラコも、子供や親があることを考えた。彼等も、
耕すか、家畜を飼うかして、口を糊しているのだ。上等兵はそういうことを考えた。――....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
結構な所でしょう」 云いながら静かに身を廻らし戸外の景色を指差したが、 「畑を
耕す男、車を押す女。楽しそうに叫んでいる子供や犬。……何んと長閑ではありませんか....
「転機」より 著者:伊藤野枝
よりは、わずかな金であった。その金がなくなれば、どうすることもできなかった。土を
耕すことより他には、何の仕事も彼等は知らないのだ。耕そうにも土地はないし、金はな....
「真夏の夢」より 著者:有島武郎
く羽を休めました。 物の二十年も臥せったなりのこのおばあさんは、二人のむすこが
耕すささやかな畑地のほかに、窓越しに見るものはありませなんだが、おばあさんの窓の....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
った。見渡す限りの新稲の若葉の中に幾つか丸形の活動の黒点が挟まれているのは、田を
耕す農夫であった。阿Qはこの田家の楽しみを鑑賞せずにひたすら歩いた。彼は直覚的に....
「鴨の喜劇」より 著者:井上紅梅
た。彼は本来みずから働いてみずから食うことを主張した。常に女は牧畜をなし男は田を
耕すべしと主張して、たまたまごく親しい友達に逢うと彼は邸内に白菜の種を蒔けと勧め....
「入営する青年たちは何をなすべきか」より 著者:黒島伝治
ない。働くにも働く仕事を奪われる。小作人は、折角、耕して作った稲を差押えられる。
耕す土地を奪われる。そこでストライキをやる。小作争議をやる。やらずにいられない。....
「明治の戦争文学」より 著者:黒島伝治
て為すべき事なき乎。 文士筆を揮ふは、猶武人の剣を揮ふが如く、猶、農夫の※内に
耕すもの、農夫の家国に対する義務ならば、文士紙を展べて軍民を慰藉するもの、亦必ず....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
っても人だ。数限りない見知らぬ人が、野にも町にも、うようよと動いている。そこには
耕すことしか知らぬ愚昧な農夫と、スープをつくることと子供を生むことしか知らぬ醜い....
「賤民概説」より 著者:喜田貞吉
と呼んだとは思われぬ。 案ずるに、オオミタカラは「大御田族」で、天皇の大御田を
耕す仲間ということであろう。古語にヤカラ(家族)、ウカラ(親族)、ハラカラ(同胞....
「融和問題に関する歴史的考察」より 著者:喜田貞吉
ておわしたばかりでなく、御自身にも直属の土地人民を御所有になりました。その土地を
耕す農民を田部とも、オオミタカラとも申しました。田部とは田を耕作する仲間というこ....