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「耳が遠い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

耳が遠いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
一口も話しませぬ。それさえ、娘の方では、気になるのに、その尼《あま》がまた、少し耳が遠いと来ているものでございますから、一つ話を何度となく、云い直したり聞き直し....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
あるんでね。ついみんな手まねで話をする癖がついちまったんです。親分少々――」 「耳が遠いか」 「遠い段じゃねえ、このとおり耳のねえ人も同然なんです。御用があるな....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
っか?」 「何べん言わすんだ? あの車をつけてくれ。あの女の車」豹一は、こいつは耳が遠いんだと思うことによって腹立って来る気持を押えることにした。「早くやってく....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
と、組頭が訊きました。 「手前は貝をつかまつります。」 組頭は老人で、すこしく耳が遠いところへ、こっちが小声で云っているので能く聴き取れない。二度も三度も訊き....
工場細胞」より 著者:小林多喜二
と云った。 ――そうだよ。そうなれば爺ちゃだって、安心ッてもんだ。 北川爺は耳が遠いので、彼を見ながら、頭をかしげて、あやふやな笑い顔を向けた。 打鋲の山....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
きこえる、小さい声きこえない。わたし耳、ためためあるよ」 なんだ、この料理人は耳が遠いのか。 杉田は、やむを得ず、号令をかけるような声で、 「きのうこの店に....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
大な耳を引傾げざまに、ト掌を当てて、燈明の前へ、その黒子を明らさまに出した体は、耳が遠いからという仕方に似たが、この際、判然分るように物を言え、と催促をしたので....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
蛙がもう鳴いた、歌を唄ってる虫けらが、およそ羨しい、と云った場合。……祖母さんは耳が遠いから可かったものの、(活きてるよ。)は何事です。(何を寝惚けているんです....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
しんとして、誰方のお声も聞えません。」 「すぐ開き扉一つの内に、祖母が居ますが、耳が遠い。」 「あれ、お祖母様にも失礼な、どうしたら可いでしょう。……それに、御....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
ある。 それに、これは余談であるが、鶴見は十年ばかり前から聾になっている。単に耳が遠いというだけではない。殆ど全く聞えないのである。 鶴見が聾になる直ぐ前の....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
、つぎつぎと花を捧げる小さな曾孫たちを笑顔で見下されているようです。 私は近来耳が遠いのですから、佐佐木氏のお歌を始め、つぎつぎとお話下さる皆様のお言葉がはっ....
審判」より 著者:カフカフランツ
わりに、自分のほうでおしゃべりをするか、黙って彼に向い合ってすわるかして、きっと耳が遠いからだろうが、少し机の上に前かがみになり、髯の中の一握りの束をしごき、絨....
変身」より 著者:カフカフランツ
ころから店員と話をするというのも、奇妙なやりかただ。おまけに店員のほうは、店主の耳が遠いときているので近くによっていかなければならないのだ。まあ、希望はまだすっ....
日がさとちょう」より 著者:小川未明
いますと、どうか、一|度、ふるさとへ帰ってきたいものだと思いました。 彼女は、耳が遠いものですから、同じ奉公をしましても、ほかの女たちのように、どんな仕事にで....
俗臭」より 著者:織田作之助
らで帰って来ん」 「…………」 弁解しようと思ったが初乃は止した。伝三郎は少し耳が遠いので、納得させるには大声を出さねばならぬ。叱られて大声でもない訳だ。 「....