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耳に立つ
「耳に立つ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
耳に立つの前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
》が、がさがさと憊《くたび》れた神経に刺さるような音を立て、風の向《むき》で時々
耳に立つ遠くの町の群衆の跫音《あしおと》が、潮《うしお》でも寄せて来るように思い....
「こころ」より 著者:夏目漱石
わ》のない時分でしたから、がらがらいう厭《いや》な響《ひび》きがかなりの距離でも
耳に立つのです。車はやがて門前で留まりました。 私が夕飯《ゆうめし》に呼び出さ....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
。 七つ八つの金魚は静まり返って、藻や太藺が風の狼藉の跡に踏みしだかれていた。
耳に立つ音としては水の雫の滴る音がするばかりで、他に何の異状もないように思われた....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
夏の際は若葉青葉の隧道を造る。青空から降る雨の様に落葉する頃は、人の往来の足音が
耳に立つ。蛇の巣でもあるが、春は香の好いツボスミレ、金蘭銀蘭、エゴ、ヨツドヽメ、....
「流線間諜」より 著者:海野十三
赤毛はワナワナ慄えながら帆村の腰に獅噛みついた。 室内にはシューシューと可なり
耳に立つ音がしている。それは毒瓦斯をしきりに排気している送風機の音だった。排気が....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ら面の見様もなかったし、ただ声に聞覚えがあるといえばあるのだが、それだって別段、
耳に立つほどの声でもなかったから、声だけでは、いま眼の前へその女が現われて来たと....
「特殊部落の言語」より 著者:喜田貞吉
行の音もしばしばタ行に誤ったり、ダ行の音をしばしばラ行に誤ったりすることは、よく
耳に立つところである。浪人をドウニンと云ったり、雑誌をダッシと云ったりなどする。....