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耳を傾ける
「耳を傾ける〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
耳を傾けるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文放古」より 著者:芥川竜之介
はいつのまにか世間並《せけんな》みの細君に変るであろう。浪花節《なにわぶし》にも
耳を傾けるであろう。最勝寺《さいしょうじ》の塔も忘れるであろう。豚《ぶた》のよう....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
花の※《におい》のする春の月夜に包まれながら、だんだんこちらへやって来る笛の声に
耳を傾けるのは、彼にとっても何となく、心憎い気のするものであった。
その内に彼....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
。
「ええ、まあ、――」
青年はこう云いかけたなり、ちょいと窓の外のけはいに、
耳を傾けるような眼つきになった。
「雨ですね。お父さん。」
「雨?」
少将は足....
「或る女」より 著者:有島武郎
し込んで、木村への伝言を古藤はひとり言《ごと》のように葉子にいった。葉子はそれに
耳を傾けるような様子はしていたけれども、ほんとうはさして注意もせずに、ちょうど自....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
「早瀬さん。」 「お蔦か、」 と言った自分の声に、聞えた声よりも驚かされて、
耳を傾けるや否や、赫となって我を忘れて、しゃにむに引開けようとした戸が、少しきし....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
を持っている。厘毛の利を争うことから神を創ることに至るまで、偽らずに内部の要求に
耳を傾ける人ほど、彼は裕かに恵まれるであろう。凡ての人は芸術家だ。そこに十二分な....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
の音だ。さッと言っては押し寄せ、すッと静かに引きさがる浪の音が遠く聴えた。それに
耳を傾けると、そのさッと言ってしばらく聴えなくなる間に、僕は何だかたましいを奪わ....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
ばかりであるか、それさえも現である。 「松や、」と言って、夫人は我が声に我と我が
耳を傾ける。胸のあたりで、声は聞えたようであるが、口へ出たかどうか、心許ない。 ....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
する、その扉の見当が附かぬから、臥床に片手|支いたなり、熟と室の内を※しながら、
耳を傾けると、それ切り物の気勢がせぬ。 「はてな、」 自分で、奥さん、と言った....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ききかせてくださるのでございますから、どんなに判りの悪い者でも最後にはおとなしく
耳を傾けることになって了います。私などは随分我執の強い方でございますが、それでも....
「白光」より 著者:井上紅梅
っかりとした、せわしない小声が聞えた。 「右へ廻れ、左へ廻れ」 彼は伸び上って
耳を傾けるとその声はだんだん高くなって 「右へ廻れ」 と言った。 彼は覚えて....
「青蛙神」より 著者:岡本綺堂
なるたけ体を楽にして、休んでおいでなさい。 柳 じゃあ、御免なさい。(行きかけて
耳を傾ける。)雨が又降り出したのか。ああ、さびしい晩だねえ。(力なげに寝室に入る....
「人狼」より 著者:岡本綺堂
だような。 お妙 この頃は狼の噂で、どこでも早く寝てしまうようです。 おいよ (
耳を傾ける。)砧の音も止んで、唯きこえるのは虫の声ばかり……。ほかには何んにも聞....
「一日一筆」より 著者:岡本綺堂
間も静坐してはいられない。電話は間断なしにチリンチリンいうと、女は眼を嶮しくして
耳を傾ける。電報が投げ込まれると、男は飛びかかって封を切る。洋服姿の男がふらりと....
「影」より 著者:岡本綺堂
無言で炉の前に来る。重兵衛は更に枯枝をくべる。梟の声。) 太吉 (怖ろしそうに
耳を傾ける。)お父さん。あれ、あんな声が……。 重兵衛 あれは梟だ。梟が啼くのだ....