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耳を打つ
「耳を打つ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
耳を打つの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「道草」より 著者:夏目漱石
ばならなかった。彼女に最も正当と思われたこの答が、時として虚偽の響をもって健三の
耳を打つ事があっても、彼女は決して動かなかった。しまいにどうなっても構わないとい....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
った。旧い街道筋をも変えずには置かないようなその岩石の裂ける音は恐ろしげにお粂の
耳を打つ。その時、木曾風俗の軽袗ばきでお粂らの方へ河岸を走って来る二人づれの旦那....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
そり妾をかこっておくとか、女のことで夫婦喧嘩が絶えないとか、そういうことがたえず
耳を打つ。それに、そうした噂がまんざら虚偽でないという証拠も時には眼にもうつった....
「鬼涙村」より 著者:牧野信一
私を目指《めざ》して、この怖《おそ》るべき風評がしばしば明らさまの声と化して私の
耳を打つに至っていた。あの戦慄《せんりつ》すべきリンチは、期が熟したとなれば祭の....
「火星兵団」より 著者:海野十三
、あちこちに塔を並べたように立っていた。
時々妙な怪音が、ひとしきりやかましく
耳を打つのであったが、それは、今着いたばかりの火星人たちが、点呼を受けているので....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
大歎息とともに尻を曳いたなごりの笑が、更に、がらがらがらと雷の鳴返すごとく少年の
耳を打つ!…… 「お煎をめしあがれな。」 目の下の崕が切立てだったら、宗吉は、....
「小公女」より 著者:菊池寛
か、と思っていたところです。それから、私が宮様だったら、先生は私が何をしようと、
耳を打つなんてことは、なさらないだろうと思っていました。それからまた、お気がつい....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
涙ではないのだ! 葬いの慟哭はふたたび起り、あなたがたの哀傷の声は幾度となく人の
耳を打つだろう! あなたがたの息子、血のつながる者、むかしたいへん愛された友人で....
「城」より 著者:カフカフランツ
くありえないようなやりかたでただ一つの高くて強い声がつくり上げられるようであり、
耳を打つその声は、ただ貧弱な聴覚よりももっと奥深くにしみとおることを要求するかの....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
はくゎっとなり、嘲るような目つき身ぶりで、女王に背を向けた。ただちに、女王は彼の
耳を打つや否「悪魔の所へ帰れ!」そう叫び彼女は怒りで真っ赤になった。その瞬間、狂....
「三国志」より 著者:吉川英治
出して、 「退き鉦を打て、黄忠を退かせろ」と、高矢倉から叫び出した。 たちまち
耳を打つ退き鉦の音に黄忠は、ぱっと馬をかえした。そして急速度に城中へ駈けこむ兵に....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
姿を立ちならべて……何か、経文を誦しはじめている。 経に和して、しきりな雷鳴が
耳を打つ。それにつれ、誦経も、だんだんに、高かった。 「道誉っ」 「はっ。ご遺書....