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耳を立てる
「耳を立てる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
耳を立てるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
。
清逸の心はこのささやかな攪拌《かくはん》の後に元どおり沈んでいった。一度聞
耳を立てるために天井《てんじょう》に向けた顔をまた障子の方に向けなおした。
十....
「猟奇の街」より 著者:佐左木俊郎
そう言って、靄の上に蜃気楼のように浮かんでいる高層建築のほうを指さしながら、聞き
耳を立てるようにした。 「ぼくには、そんな泣き声なんか聞こえませんがね。あなたは....
「接吻を盗む女の話」より 著者:佐左木俊郎
、母親が「お母ちゃん帰るかと、見て来よかあ?」という子守唄を歌ってはいないかと、
耳を立てるようにした。――その子守唄は、彼女の家の、寂しさの象徴だった。職を漁《....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
ともさえない顔色して自然元気がない。子どもながら両親の顔色や話しぶりに、目を泣き
耳を立てるというふうであるのだ。 こうなると君、人間というやつはばかに臆病にな....
「ニッケルの文鎮」より 著者:甲賀三郎
帰ると、何かコソコソ話し出したの。紅茶という声が聞こえたので、あたしは思わず聞き
耳を立てると、 『君、どうして検事に先生の前で紅茶を飲んだ事をいわなかったのだい....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
させた。町へは鰯を売りに来た、蟹を売りに来たと言って、物売りの声がするたびにきき
耳を立てるのも佐吉だ。佐吉は、山下町の方の平田家まで供をしたおりのことを言い出し....
「秋風記」より 著者:太宰治
いかしら。」 「よい悪事。」私も、うっとり呟いてみる。 「雨?」Kは、ふと、きき
耳を立てる。 「谷川だ。すぐ、この下を流れている。朝になってみると、この浴場の窓....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
こちとら徒の、すなわち狸の腹鼓という甘術でね。不気味でも、気障でも、何でも、聞く
耳を立てるうちに、うかうかと釣出されずにゃいねえんだね。どうですえ、……それ、来....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
へはいって来た。その人たちの言うことを残らずぼくは聞いたのだ。はじめはぼくも聞く
耳を立てるつもりではなかったが、のちにはそれをしずにいられないようになった。 『....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
云うと自分も、奥へはいり階段の下から、二番目のところまで昇って上の容子いかにと聞
耳を立てるのであった。 新子が、自分の部屋へはいると、夫人は新子のベッドの端に....
「博物誌」より 著者:岸田国士
ゃんとからだを伸ばし、眼つき鋭く、胸飾りも引立ち、彼女は両方の耳で代るがわる聴き
耳を立てる。 で、別に変ったこともないのを確かめると、また餌を捜し始める。 ....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
なことがあったのでござるよ」 「ははあ、不思議とおっしゃいますと?」紋太郎は聞き
耳を立てる。 「……それがどうもいえませんて、口止めをされておりますのでな」 「....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
。 暫くすると、台所の方で、お勝さんの声で怒鳴っております。何を騒いでいるかと
耳を立てると、案の条、鼠入らずの中の刺身がなくなっていることを問題にしているらし....
「グーセフ」より 著者:神西清
駈けて行った。……悪いことでも持ち上ったのじゃないか。グーセフは頭をもたげて、聴
耳を立てる。すると、例の三人組がまた骨牌をしているのが見える。パーヴェル・イヴァ....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
々恐々としているある夜のこと、隣りの座敷のひそひそ話が気になり、ふすまごしに聞き
耳を立てると、聞いた声と思ったのも道理、広大号に乗合わせた人相のよくない男と娘ら....