耳許[語句情報] »
耳許
「耳許〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
耳許の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
気にはなれなかった。薄野《すすきの》薄野という声は、酒を飲みはじめた時から絶えず
耳許《みみもと》に聞こえていたけれども、手ごわい邪魔物がいて――熊のような奴だっ....
「碁石を呑んだ八っちゃん」より 著者:有島武郎
つの間に寝てしまったんだろう。 「兄さん眼がさめて」 そういうやさしい声が僕の
耳許でした。お母さんの声を聞くと僕の体はあたたかになる。僕は眼をぱっちり開いて嬉....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
かけて両手で撫でるし、坊やは肩から負われかかって、背ける顔へ頬を押着け、躱す顔の
耳許へかじりつくばかりの甘え方。見るまにぱらぱらに鬢が乱れて、面影も痩せたように....
「春昼」より 著者:泉鏡花
へ引廻した蘆垣の蔭から、松林の幹と幹とのなかへ、襟から肩のあたり、くっきりとした
耳許が際立って、帯も裾も見えないのが、浮出したように真中へあらわれて、後前に、こ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
して、ほんのり桃色がその上に浮いて出た。 ト見ると、房々とある艶やかな黒髪を、
耳許白く梳って、櫛巻にすなおに結んだ、顔を俯向けに、撫肩の、細く袖を引合わせて、....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
えたのは、汽車の動くままに、玉の緒の揺るるよ、と思う、微な元結のゆらめきである。
耳許も清らかに、玉を伸べた頸許の綺麗さ。うらすく紅の且つ媚かしさ。 袖の香も目....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
藁の裙に優しくこぼれる、稲束の根に嫁菜が咲いたといった形。ふっさりとした銀杏返が
耳許へばらりと乱れて、道具は少し大きゅうがすが、背がすらりとしているから、その眉....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
縮緬。撫肩の懐手、すらりと襟を辷らした、紅の襦袢の袖に片手を包んだ頤深く、清らか
耳許すっきりと、湯上りの紅絹の糠袋を皚歯に噛んだ趣して、頬も白々と差俯向いた、黒....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
、道中の髪を解放し、あすあたりは髪結が来ようという櫛巻が、房りしながら、清らかな
耳許に簪の珊瑚が薄色に透通る。……男を知って二十四の、きじの雪が一層あくが抜けて....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
てるんだか分らないわねえ。」 馴々しくいうと、急に胸を反らして、すッきりとした
耳許を見せながら、顔を反向けて俯向いたが、そのまま身体の平均を保つように、片足を....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
い。」 お洲美さんは、※っていた目を閉じました。そして、うなずくように俯向いた
耳許が石榴の花のように見えた。 「私は巡礼…… もうこの間から、とりあえず仙台....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
お静に。」といって、船頭は何か取ろうとして胴の間の処へ俯向く。 途端であった。
耳許にドンと一発、船頭も驚いてしゃっきり立つと、目の前へ、火花が糸を引いて※と散....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
した。 (どうなすったの。) 花の咲くのに音はしません。……いつの間にか、つい
耳許に、若い、やさしい声が聞こえて、 (お腹が疼いんですか。) 少年たち、病気....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
の横顔で差覗くようにしながら、人も世も二人の他にないものか。誰にも心置かぬ状に、
耳許にその雪の素顔の口紅。この時この景、天女あり。寂然として花一輪、狼に散る風情....
「活人形」より 著者:泉鏡花
、崩れたる築山あり。水の洞れたる泉水あり。倒れかけたる祠には狐や宿を藉りぬらん、
耳許近き木の枝にのりすれのりすれ梟の鳴き連るる声いと凄まじ、木の葉を渡る風はあれ....