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耽
「耽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
耽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
寝入《たぬきねい》りをした。甲野は彼の枕もとに婦人雑誌の新年号をひろげ、何か読み
耽《ふ》けっているらしかった。玄鶴はやはり蒲団《ふとん》の側の褌のことを考えなが....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
うとしている頃であった。私はいつもの通りランプの前にあぐらをかいて、漫然と書見に
耽《ふけ》っていると、突然次の間との境の襖が無気味なほど静に明いた。その明いたの....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
が、全く当時の若殿様は、それほど御平生に似もやらず、恋慕三昧《れんぼざんまい》に
耽って御出でになりました。
しかし、これは、あながち、若殿様御一人に限った事で....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
の前に、パイプの煙を靡《なび》かせたまま、悠々とモリス・ルブランの探偵小説を読み
耽《ふけ》っている。が、保吉の来たのを見ると、教科書の質問とでも思ったのか、探偵....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
じこもって、銀行家と云うよりは若隠居にでもふさわしそうな読書|三昧《ざんまい》に
耽っていたのです。これは勿論一つには、彼の蒲柳《ほりゅう》の体質が一切《いっさい....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
オルガンティノは寂しそうに、砂の赤い小径《こみち》を歩きながら、ぼんやり追憶に
耽っていた。羅馬《ロオマ》の大本山《だいほんざん》、リスポアの港、羅面琴《ラベイ....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
上
夜、盛遠《もりとお》が築土《ついじ》の外で、月魄《つきしろ》を眺めながら、落葉《おちば》を踏んで物思いに
耽っている。
その独白
「もう月の出だな。いつもは月が出るのを待ち....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
囲みながら、一碗の珈琲《コオヒイ》と一本の葉巻とに忙しさを忘れて、のどかな雑談に
耽《ふけ》っていた。早春とは云いながら、大きなカミンに火が焚《た》いてあるので、....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
ほろ涙を落し出した。これからはらいそへはいろうとするのに、用もない歎《なげ》きに
耽《ふけ》っているのは、勿論|宗徒《しゅうと》のすべき事ではない。じょあん孫七は....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
兵衛《はざまきへえ》の六人が、障子にさしている日影も忘れたように、あるいは書見に
耽《ふけ》ったり、あるいは消息を認《したた》めたりしている。その六人が六人とも、....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
め》に会うよりは、むしろ死んだ後に行った方が、悲しみが少いかも知れないなどと思い
耽《ふけ》っている彼だった。しかも眼だけはその間も、レクラム版のゲエテの詩集へぼ....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
との間にはさまって、出来るだけ肩をすぼめながら、青年らしい、とりとめのない空想に
耽《ふけ》っていた。が、その中に追々空想も種切れになってしまう。それから強隣の圧....
「初雪」より 著者:秋田滋
吸い込むのだった。 そうして彼女はその思い出の糸を手繰りながら、じッと物思いに
耽るのだった――。 * * * ....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
ら光の電磁気説を想いついて、理論物理学の大家となり、またエヂソンも面白がって読み
耽けり、大発明家となった。 この本は普通の本とは非常に趣きが異っていて。 電....
「寡婦」より 著者:秋田滋
人間であったその子の身に伝えられてでもいるようでした。その子はいつ見ても物思いに
耽っておりました。そして、館から森へ通じている広い楡の並木路を、たッたひとりでい....