聖像[語句情報] »
聖像
「聖像〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
聖像の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「クララの出家」より 著者:有島武郎
ふと眼をあげて祭壇を見た。花に埋められ香をたきこめられてビザンチン型の古い十字架
聖像が奥深くすえられてあった。それを見るとクララは咽せ入りながら「アーメン」と心....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
どころに痳痺するため、火星の表徴とす。
網龕灯の赭黒い灯が、薄く雪の積った
聖像の陰影を横に縦に揺り動かして、なんとも云えぬ不気味な生動を与える。また、その....
「聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
溢れた亡命者達も、やがて日本を一人去り二人去りして、現在では堂守のラザレフ親娘と
聖像を残すのみになってしまった。それにつれて、祈祷の告知だった美しい鐘声も古めか....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
男女が続いた。 部屋の中は皎々と輝いた。今まで見えなかった様々の物が――壁画や
聖像や龕や厨子が、松明の光で見渡された。それはいずれも言うも憚り多い怪しき物のみ....
「現代哲学講話」より 著者:戸坂潤
之を何か目立だしい旗印として押し立てていないでもない。かくて弁証法は何か宗派的な
聖像となり、神秘のベールを着せられる。――弁証法一般が、もしこのような理由から、....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
民性としてあらゆる抽象名詞を愛する――が、ごく少量の国際的反省のもとにこんとんと
聖像をとり出して狂的な接吻を盗み、物資欠乏の背の重い「友達」たちが、うなだれるか....
「わが血を追ふ人々」より 著者:坂口安吾
の道を失ふまいと思ふなら、私のやうに野に伏し山に寝て人目をくゞるか、さもなければ
聖像を足にふみ不信を天主様に詫びながら悔恨の多い一生を辿らなければなるまい。この....
「可愛い女」より 著者:神西清
いることだろうなどと語り合い、やがて一種奇妙な想念の流れにみちびかれて、二人して
聖像の前にかしこまって、地に額ずいて礼拝をしながら、神様どうぞ私どもに子どもをお....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
チューリッヒの羅馬加特力教会に、所謂奇蹟が現われたのです。ある八月の夕方、会堂の
聖像が忽然と消え失せてしまって、その代り、創痕から何まで
聖像と寸分も異ならない肉....
「決闘」より 著者:神西清
ぎすの青年で、顎鬚はないが、見えるか見えぬぐらいの口髭がある。客間にはいるとまず
聖像に十字を切って、にこやかにフォン・コーレンに手を伸べる。 「やあ」と動物学者....
「ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
も小ざっぱりと清潔だ。どこもかしこもシンとして人っ子ひとりいはしない。みあかしは
聖像の前でちらちらと燃え、家じゅうどこにも、生きものの気配ひとつ、人間の声ひとつ....
「六号室」より 著者:瀬沼夏葉
長には町に顧主の病家などは少しも無いのであるから。控所は、壁に大きい額縁に填った
聖像が懸っていて、重い灯明が下げてある。傍には白い布を被せた読経台が置かれ、一|....
「少年たち」より 著者:神西清
行ったり来たりしているばかりで、何ひとつ食べなかった。一度など、彼は子ども部屋の
聖像の前に立ちどまって十字を切り、こんなことを言いさえした。 「神さま、どうぞ、....
「ねむい」より 著者:神西清
つぶやいている。―― ねんねんよう おころりよ、 唄をうたってあげましょう。……
聖像の前に、みどり色の燈明がともっている。部屋の隅から隅へかけて、細引が一本わた....
「大ヴォローヂャと小ヴォローヂャ」より 著者:神西清
それを開いて低く低くお辞儀をした。……勤行はまだ始まっていなかった。一人の尼僧は
聖像屏の傍に沿うて燭台に灯を入れて廻り、もう一人は枝つき燭架に灯を入れていた。円....