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聞え
「聞え〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
聞えの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「英雄の器」より 著者:芥川竜之介
んとしている。遠くで二三度、角《かく》の音がしたほかは、馬の嘶《いなな》く声さえ
聞えない。その中で、どことなく、枯れた木の葉の匂《におい》がする。
「しかしです....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
、やさしい声で云いました。
しかし御姫様は、命拾いをなすった嬉しさに、この声も
聞えないような御容子《ごようす》でしたが、やがて髪長彦の方を向いて、心配そうに仰....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
ら東海道をほとんど隈《くま》なく遍歴した。が、兵衛の消息は、杳《よう》として再び
聞えなかった。
寛文《かんぶん》九年の秋、一行は落ちかかる雁《かり》と共に、始....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
rarach」と写したのがある。なるほどぼんやり耳を貸していると、ああ云う風にも
聞えないことはない。――そんなことを考えたのも覚えている。
保吉は物憂《ものう....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
美津がこの頃は、大へん女ぶりを上げたわね。」
姉の言葉が洋一には、急にはっきり
聞えたような気がした。が、彼は何も云わずに、金口《きんぐち》をふかしているばかり....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
』と、大声《おおごえ》に歌をうたいながら、織田殿《おだどの》の身内に鬼《おに》と
聞えた柴田《しばた》の軍勢を斬《き》り靡《なび》けました。それを何ぞや天主《てん....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
ど海水浴区域とは反対の方角に向っていた。海は勿論砂山に隠れ、浪の音もかすかにしか
聞えなかった。しかし疎《まば》らに生《は》え伸びた草は何か黒い穂《ほ》に出ながら....
「運」より 著者:芥川竜之介
こから帰る路で、そなたに云いよる男がある。その男の云う事を聞くがよい。』と、こう
聞えると申すのでございますな。
「はっと思って、眼がさめると、坊主はやっぱり陀羅....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
げました。 丁度その途端です。誰か外へ来たと見えて、戸を叩く音が、突然荒々しく
聞え始めました。 二 その日のかれこれ同じ時刻に、この家の外を通りか....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
、某街四十番地所在の家屋に住む者は連続的に二発放たれた銃声に夢を破られた。銃声の
聞えたのは何某氏の部屋だった。ドアを開けてみると借家人の某氏は、われと我が生命を....
「初雪」より 著者:秋田滋
降りつづけた。道という道は泥河のようになってしまい、野はいちめんの泥海と化した。
聞えるのは、ただどうどうと落ちる雨の音ばかり。眼に見えるものと云っては、渦を巻い....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
来意を通ずれば、「珍しき人よりの手紙かな、こちらへと言え」と書生に命ずる主公の声
聞えたり。頓て書生にいざなわれて応接所へ通りしが、しばらくしてまたこちらへとて奥....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
た山の上に長い夏の太陽の光が薄れ行き、夕ぐれになるとアッパーデールからの寺の鐘が
聞えて来る。あたりが全く暗くなる頃までも眺めていた。 バイロンのチャイルド・ハ....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
流れそのせせらぎは人を眠りにいざない、ときたま鶉が鳴いたり、啄木鳥の木を叩く音が
聞えるが、あたりに漲ぎる静寂を破る響はそれくらいのものだ。 思いおこしてみると....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
はなかった。けれども車大工には気のせいか、その辺の闇のなかで呻くような声が幽かに
聞えるようだった。彼はながい間じッと耳を澄して聞いていた。ある時は右の方に、また....