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聞えよがし
「聞えよがし〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
聞えよがしの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「旧主人」より 著者:島崎藤村
時、爺さんが恍《とぼ》けた顔を出して、 「あんな乞食の歌を聞いて何にする」 と
聞えよがしに笑いました。 「これはこれはどうも難有《ありがと》うござります。どう....
「少年時代」より 著者:幸田露伴
直ぐ遊ぶことが出来るのですから、家の人達のまだ寝ているのも何も構うことは無しに、
聞えよがしに復読しました。随分迷惑でしたそうですが、然し止せということも出来ない....
「天馬」より 著者:金史良
てやんわり笑った。彼は益々いい気になって方々彼女を連れて歩きながら、道行く人々に
聞えよがしに、ボンジュール、トレビアン、ボウギャルソン、ススワルとか知っているだ....
「太平洋魔城」より 著者:海野十三
針儀の針はぶるぶるふるえていた。 「それはそのはずだ」 太刀川青年がケレンコに
聞えよがしにいった。 「あのとおり方向舵が曲ってうごかなくなってしまったんだ。あ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
たって止めにさっせえよ。」と委細は飲込んだ上、そこらへ見当を付けたので、婆さんは
聞えよがし。 島野は耐えかねてずッと出て、老人には目も遣らず、 「さあ、」 「....
「若草物語」より 著者:オルコットルイーザ・メイ
りを、涙で流したかった。けれど、あまりにいたでは深く、とうとう頭をふり、エミイに
聞えよがしに、 「あんまりひどいんですもの、許してやれませんわ。」 そういって....
「火の扉」より 著者:岸田国士
の部屋でじつと二人の会話を聞いているらしい母と義妹とが、なにやら口早に、こつちへ
聞えよがしの言葉を交したように思つた。康子は、聞くともなしに、そつちへ気を配つた....
「おせん」より 著者:邦枝完二
どくやっ付けて来ねえッてことよ」 壁一|重隣の左官夫婦が、朝飯の膳をはさんで、
聞えよがしのいやがらせも、春重の耳へは、秋の蝿の羽ばたき程にも這入らなかったので....
「おばけずきのいわれ少々と処女作」より 著者:泉鏡花
、朝から晩まで、横に見たり、縦に見たり、乃至は襖一重隣のお座敷の御家族にも、少々
聞えよがしに朗読などもしたのである。ところがその後になって聞いてみると、その小説....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
非常に怒って居るんだからその訳をよくいって一緒になったがよかろうということを私に
聞えよがしにいって居るです。
私はどうも驚きました。けれどもその時に決心した。....
「越年」より 著者:岡本かの子
速に不況になる惧れのあるような会社は見込みがないって言ってたよ」 山岸は辺りへ
聞えよがしに言った。彼も不満を持ってるらしかった。 「あの人は今度、どこへ引っ越....
「むかでの跫音」より 著者:大倉燁子
話だから、本当は自殺だか何だか、まあ謎でしょう」 こうした蔭口を、時には故意と
聞えよがしに云うのを耳にしながら、平然として告別式に列席し、納骨式に拍手を拍って....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
かい飯を自分の茶わんに入れようとすると『貞吉っとん、それはお上のんでっせ』と奥に
聞えよがしにいう。新しく出したつけ物を下の方に入れて『上から取れ』というのも彼女....
「春泥」より 著者:久保田万太郎
ゃァがる。――なかで人をくった奴ァ、すました面で、まァ芝居のようだこと、だなんぞ
聞えよがしにそんなことをいって行きゃァがる。」 「それじゃァ引っ込がつかないじゃ....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
。 「天神様へはどう行きますか?」 「あっち。」 女の子は僕等に返事をした後、
聞えよがしにこんなことをいった。 「みんな天神様のことばかり訊くのね。」 僕は....