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「聞かせる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

聞かせるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
それは当時の信輔には確かに大きい幸福だった。しかし又彼の友だちの前に得々と話して聞かせるには何か気のひける幸福だった。 或朝焼けの消えかかった朝、父と彼とはい....
河童」より 著者:芥川竜之介
用いることもあります。しかしたいていは電気も用いません。ただその犯罪の名を言って聞かせるだけです。」 「それだけで河童は死ぬのですか?」 「死にますとも。我々河....
彼 第二」より 著者:芥川竜之介
あくしゅみ》じゃないか?」 「それじゃ他人の聞きたがらない音楽を金《かね》ずくで聞かせるのも悪趣味だよ。」 グラノフォンはちょうどこの時に仕合せとぱったり音を....
袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
ていると、あの女が夫の渡《わたる》に対して持っている愛情を、わざと誇張して話して聞かせる。しかも己にはそれが、どうしてもある空虚な感じしか起させない。「この女は....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
なもんだが、――」 彼は牛荘《ニューチャン》の激戦の画を見ながら、半ば近所へも聞かせるように、こうお蓮へ話しかけた。が、彼女は不相変《あいかわらず》、熱心に幕....
或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
せんな。」 忠左衛門は、けげんな顔をして、藤左衛門を見た。相手は、この話をして聞かせるのが、何故《なぜ》か非常に得意らしい。 「今も似よりの話を二つ三つ聞いて....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
すぐに茶の間《ま》を出て行った。おとなしい美津に負け嫌いの松の悪口《あっこう》を聞かせるのが、彼には何となく愉快なような心もちも働いていたのだった。 店の電話....
路上」より 著者:芥川竜之介
から、それでこっちへ出て来る事になったんだ。所が毎日初子さんが例の小説の話ばかり聞かせるので、余程体にこたえるのだろう。どうもこの頃はちと健康が思わしくない。」....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
だそうですが、そこで一杯やっている内に、その心配な筋と云うのを問わず語りに話して聞かせると、その友だちの泰《たい》さんと云うのが急に真面目な顔をして、「じゃお島....
或る女」より 著者:有島武郎
ぼうかと尋ねた。 「今晩からは食堂にしてください」 葉子はうれしい事でもいって聞かせるようにこういった。ボーイはまじめくさって「はい」といったが、ちらりと葉子....
或る女」より 著者:有島武郎
のあの事だけはまだ内証よ。いいおりを見つけて、わたしから上手《じょうず》にいって聞かせるまでは知らんふりをしてね……よくって……あなたはうっかりするとあけすけに....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
も腕力にかけておらにかなうものは一人だっていねえ」 君はあたりまえの事を言って聞かせるようにこう言った。私の前にすわった君の姿は私にそれを信ぜしめる。 パン....
親子」より 著者:有島武郎
にもなろうとする息子をつかまえて、自分がこれまでに払ってきた苦労を事新しく言って聞かせるのも大人気ないが、そうかといって、農場に対する息子の熱意が憐れなほど燃え....
ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
々のために書いているのではない、ともすれば弱くなりがちな自分の勇気をかきと云って聞かせるために綴るのだ。 私は素朴な両親にそだてられた。彼らは何ごとに依らず物....
寡婦」より 著者:秋田滋
て来た、一家のさまざまな話、先祖たちの火花を散らすような恋愛事件をのこらず語って聞かせるのでした。なぜかと云いますと、世間ではその話を、それには本当のもあれば根....