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聞き耳を立てる
「聞き耳を立てる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
聞き耳を立てるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「映画時代」より 著者:寺田寅彦
漢」と話していると、隣室から土人娘の子守歌《こもりうた》が聞こえる。それに探偵が
聞き耳を立てるところに一編の山がある。こういう例はあげれば際限なくあげられるかも....
「猟奇の街」より 著者:佐左木俊郎
女はそう言って、靄の上に蜃気楼のように浮かんでいる高層建築のほうを指さしながら、
聞き耳を立てるようにした。 「ぼくには、そんな泣き声なんか聞こえませんがね。あな....
「ニッケルの文鎮」より 著者:甲賀三郎
屋へ帰ると、何かコソコソ話し出したの。紅茶という声が聞こえたので、あたしは思わず
聞き耳を立てると、 『君、どうして検事に先生の前で紅茶を飲んだ事をいわなかったの....
「若き日の成吉思汗」より 著者:林不忘
ん! (そっくり返って天幕へはいってく) 一同は天幕の入口に集まり、心配そうに
聞き耳を立てる。 成吉思汗《ジンギスカン》の声 (天幕の中から、睡そうに)う....
「悟浄出世」より 著者:中島敦
うのでもなく、何か呟《つぶや》いておられることがある。そういうとき、悟浄は急いで
聞き耳を立てるのだが、声が低くてたいていは聞きとれない。三《み》月の間、渠はつい....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
田先生もかわいそうなことをなさいました」 「かわいそうなこととは?」 竜之助は
聞き耳を立てる。 「まだお聞きになりませんか」 「まだ聞かない」 竜之助は、我....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
地獄の耳にそれが届きました。 「おや?」 久助の胸に固くなっていたお雪が、まず
聞き耳を立てると、久助も、 「あの声は?」 といいました。その時、表で第三度目の....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
の音は……」 そう言われて、はじめてこちらの人が聞き耳を立てました。 実は、
聞き耳を立てるほどのことはなく、さいぜんから亮々《りょうりょう》として満野に響い....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
まではいかないで、ひときわの懊悩《おうのう》をつづけておりますと、ふっとまた一つ
聞き耳を立てると、この懊悩も、空想も、一時《いっとき》ふっ飛んでしまい、思わず凝....
「北国の人」より 著者:水野葉舟
時に玄関があわただしく開いた。よほど急いで来たらしい人の気配だ。はてなと思って、
聞き耳を立てると、その儘案内もなく、すっと障子を開けて上って来る。変だと思うので....
「盈虚」より 著者:中島敦
如く地団駄を踏んで喚いている彼の男の声にも、どうやら聞き憶えがある。おやと思って
聞き耳を立てると、今度は莫迦にはっきり聞えて来た。「俺は渾良夫《こんりょうふ》だ....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
フョードル・パーヴロヴィッチが下の部屋で身動きをしたり歩いたりする物音に、一心に
聞き耳を立てるのであった、しかも一種奇怪な好奇心を覚えて、息を殺し、胸をおどらせ....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
思議なことがあったのでござるよ」 「ははあ、不思議とおっしゃいますと?」紋太郎は
聞き耳を立てる。 「……それがどうもいえませんて、口止めをされておりますのでな」....
「魔都」より 著者:久生十蘭
鶴子の住居のドアをはげしく打叩く音がする。鶴子はベッドの上に半身を起してその方へ
聞き耳を立てると、ドアの外で何かゴシャゴシャ言っている工合では、そこにいるのはど....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
て戦々恐々としているある夜のこと、隣りの座敷のひそひそ話が気になり、ふすまごしに
聞き耳を立てると、聞いた声と思ったのも道理、広大号に乗合わせた人相のよくない男と....