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聞こゆ
「聞こゆ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
聞こゆの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
にかの狗子にだに如《し》かざるものを絶たず。日夜の哭啾《こくしゅう》聞こえざるに
聞こゆ。筆を折って世とともに濁波を挙げて笑いかつ生きんとしたること幾度なりしを知....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
て、ほとんどその身を忘れたる背後《うしろ》に、 「あなた、どうなすった?」 と
聞こゆるは寝惚《ねぼ》れたる女の声なり。白糸は出刃を隠して、きっとそなたを見遣《....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
遠光は頼長が腹心の侍で、宇治と京とのあいだを絶えず往来して、およそ眼に入るもの、
聞こゆるもの、大小となく主人に一いち報告する一種の物聞《ものぎ》きの役目を勤めて....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
岩窪に水を湛へて 龕の灯のともしく映る 人の住む岩窟ならぬに 鑿の音しかも
聞こゆれ 野の小鳥訪ひしことなし 野の獣訪ひしことなし 面造る女ぞ一人 ....
「多神教」より 著者:泉鏡花
、階段の下に、少時ぬかずき拝む。静寂。きりきりきり、はたり。何処ともなく機織の音
聞こゆ。きりきりきり、はたり。――お沢。面を上げ、四辺を※し耳を澄ましつつ、やが....
「ドモ又の死」より 著者:有島武郎
とにしてくれ。 とも子 そんなこと、私がさせときませんわ。 戸外にて戸をたたく音
聞こゆ。 人の声 ええ、ごめんくださいまし、九頭竜でございますが、花田さんはおい....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
刻のごとく、はしけやけき芸術ほど人に知られない。鋳金家、蒔絵師などこそ、且つ世に
聞こゆれ。しかも仕事の上では、美術家たちの知らぬはない、小山夏吉は、飾職の名家で....
「武士を夷ということの考」より 著者:喜田貞吉
とす。 『増鏡』つげの小櫛の条に、 御子は十月三日御元服し給ひて、久明の親王と
聞こゆめり。同じき十日の日、院よりやがて六波羅の北の方、さきざきも宮の渡り給ひし....
「甲州郡内妖怪事件取り調べ報告」より 著者:井上円了
ちその答えを得という。この声、最初の間は夜分のみ聞こえしが、後には昼夜を分かたず
聞こゆるに至りしかば、このこと、いつしか近村の一大評判となり、人々みなこれを奇怪....
「妖怪学」より 著者:井上円了
えば法華経となりて聞こえ、鵑声を聞きて「不如帰去となく」と思えば不如帰去となりて
聞こゆるなり。また、夜中、形色の判然せざるものに接すれば、あるいは人のごとく見え....
「妖怪報告」より 著者:井上円了
ごとくなるは、余の考えにては、上の例にて音響の小なるを大砲のごとく大声なりと誤り
聞こゆるは、あたかも水の高所よりひくき所に流るるを防ぎおき、その防ぎおきたる所を....
「妖怪玄談」より 著者:井上円了
りと予期して聞けば禽音となりて聞こえ、これを水声なりと予期して聞けば水声となりて
聞こゆるものなり。鶯声を聞きて「法華経となく」と思えば「法華経」となりて聞こえ、....
「間人考」より 著者:喜田貞吉
たなめられしかば、…… 同夕顔の巻に、 隣の事も聞きはべらずなど、はしたなげに
聞こゆれば、…… 蜻蛉日記に、 文物すれど返り事もなく、はしたなげにのみあれば....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
みずから礼壇に上りて供養をなすに当たりては、満堂随喜の涙にむせび、感泣の声四隣に
聞こゆという。あたかもわが真宗信徒の、その法主を拝するに異ならず。 大本山の名....
「西航日録」より 著者:井上円了
スター氏の一家は、当地にて一、二に数えらるる富豪にして、すこぶる有力有望をもって
聞こゆ。ことに夫婦ともになにごとにも深切にして、特に余をして当地寺院の別邸バック....