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「聞耳〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

聞耳の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
た。 清逸の心はこのささやかな攪拌《かくはん》の後に元どおり沈んでいった。一度聞耳を立てるために天井《てんじょう》に向けた顔をまた障子の方に向けなおした。 ....
金のくびかざり」より 著者:小野浩
くすると、屋根の上に、みしみしという足音が聞えました。イヌは、はっと目をさまして聞耳を立てました。オウムは、ずっと、ねないで、まっていたのです。 「掃除はきれい....
地獄の使者」より 著者:海野十三
えて、押入れの中に逃げこみました。そして蚊帳《かや》を頭から引被って、外の様子に聞耳を立てていました」 「すると、どうしました」 「すると、誰かが戸を開いて、部....
火星兵団」より 著者:海野十三
物音を耳にした。 「おや、何の音だろうか、あれは……」 先生は、けげんな顔で、聞耳をたてた。 ごとん。――しばらくして、また、ごとん。 「ああ聞えた。あれは....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
ていたまえ」 とやさしくいった。 杉田はぼんやりした頭の中で、ふとその声音に聞耳をたてた。それはたしかに、どこかで聞きおぼえのある声だった。しかも懐かしい日....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
ばかり。 鶏が鳴いたので、やっと細君が顔を上げたが、廊下に突立った夫を見た時、聞耳を立てて、 「何です……がたがた、がたがた言って、」 小松原が、 「あ、」....
甲州鎮撫隊」より 著者:国枝史郎
きでございますから。……それがお力という女の性でございます」 (おや?)とお力は聞耳を立てた。 池へ落ちている滝の音が、その音色を変えたからであった。 (誰か....
貞操問答」より 著者:菊池寛
、云うと自分も、奥へはいり階段の下から、二番目のところまで昇って上の容子いかにと聞耳を立てるのであった。 新子が、自分の部屋へはいると、夫人は新子のベッドの端....
大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
った。 しかしその時、居間の方で、変にカキカキいう音がした。 「おや」とお花は聞耳を立てたが、手に葱を持ったまま、急いでそっちへ行ってみた。 一匹の奇形な動....
南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
とを云ってるよ」 「アッハハ、つまらないかな」 苦く笑ったが猪右衛門はにわかに聞耳を引き立てた。 「どうやら帰って来たらしい」 なるほどその時|門の戸が、ギ....
赤格子九郎右衛門の娘」より 著者:国枝史郎
入る。ふたたび雨戸は中からとざされ、そのまま寂然と静かになった。 本條鹿十郎は聞耳を立て家内の様子を窺ったが何の物音も聞こえない。 「はてな」と小首を傾けた。....
仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
どかしかったので、地を這いながら先へ進み、腐ちた大木の倒れている陰へ、体を伏せて聞耳を立てた。 「……大丈夫じゃ、心配おしでない、猿めの打撲傷など直ぐにも癒る」....
剣侠」より 著者:国枝史郎
景気よく、 「献上々々、献上でえ!」と囃し喚く声が聞こえてきたので、一同は黙って聞耳を立てた。 この囃し声を耳にしたのは、お勝手元の乾児ばかりでなく、奥の座敷....
坑鬼」より 著者:大阪圭吉
…ズシリ…… 名状し難い異様な物音が聞えて来たのだ。 瞬間、二人は息を呑んで聞耳を立てた。が唸るとも響くともつかぬその物音は、すぐにやんで、あとは又元の静け....
幽霊」より 著者:小野佐世男
な?」 「この家は有名な化けもの屋敷ですよ」 私は書生の徳吉さんの傍で、じっと聞耳をたてていた。 広い台所のかまちに腰をおろした、これ等の近所の商人の語ると....