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「聞覚え〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

聞覚えの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
根岸お行の松 因果塚の由来」より 著者:三遊亭円朝
は呆れましたが、男のこえが耳なれておりますから提灯をさしつけ、顔をのぞいて見ると聞覚えのある声こそ道理で、老爺が一人息子の碌でなし、到頭|村内《むらうち》にもい....
豚群」より 著者:黒島伝治
か/\した。 「おい、お主等どうだい?」 ふと煤煙にすゝけた格子窓のさきから、聞覚えのある声がした。 「おや、君等もやられたんか!」窓際にいた留吉は、障子の破....
婦系図」より 著者:泉鏡花
、これより門口へかかる……あえて、のろけるにしもあらずだけれども、自分の跫音は、聞覚えている。 その跫音が、他の跫音と共に、澄まして音信れれば、(お帰んなさい....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
しょう。支倉へ行ってからも行動は大小となく探り出して来るのですよ」 岸本の噂の聞覚えや、推測によるとその娘は支倉に犯されて忌まわしい病気になったのではないかと....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
。 夏は簾、冬は襖、間を隔てた、もの越は、人を思うには一段、床しく懐しい。……聞覚えた以上であるが、それだけに、思掛けなさも、余りに激しい。―― まだ人間に....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
が動くと思うと、ああ、遠い高い処、空の座敷で、イヤアと冴えて、太鼓の掛声、それが聞覚えた、京千代ちい姐。 ……ものの形をしたものは、こわいように、生きています....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
。悔んだところで、暗いところから出て来たものだから面の見様もなかったし、ただ声に聞覚えがあるといえばあるのだが、それだって別段、耳に立つほどの声でもなかったから....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ち》の国公がその応接に出てみると、 「山下の銀床から参りました……」 その声は聞覚えのある声、すなわちがんりきの百蔵の声でした。 道庵は自身で玄関へ立ち出で....
霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
宜いもんだと考えを起して居りますが、未だちょん髷が有りまして、一体何うも此の人は聞覚えの分らぬ漢語を交ぜて妙な言を云います、漢語と昔のお家流の御座り奉るを一つに....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
くと爽《さわや》かな、まだお年の若いお方と思われるのみならず、その声になんとやら聞覚えがあるらしく思われるが、お角は急には思い出されません。 「いいえ、わたくし....
甲州鎮撫隊」より 著者:国枝史郎
、万遍なく秋波を送っていた。しかしその時、背後から 「こいつがお力だ」 という聞覚えのある声がしたので、驚いて振返って見た。植甚が群集の中に立って睨んでいた。....
面会」より 著者:織田作之助
の名前を呼んだ。咄嗟の智慧でもあり、また焦燥からでもあった。途端に、此処だアと、聞覚えのあるSの声がした。嬉しそうな声だと、私もまた嬉しくきいて、夢中で声の方へ....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
ずから、朝茶を下さる。 (姉さんは、娘はんですか、此楼の……) いやな野郎で、聞覚えの京言葉を、茶の子でなしに噛りましたが、娘か、と思ったほど、人がらが勝って....
活人形」より 著者:泉鏡花
かばらたちの八ツ当り。 折から玄関の戸を叩きて、「頼む、頼む。と音訪う者あり。聞覚えのある声はそれ、とお録内より戸を開けば、外よりずっと入るは下男を連れたる紳....
春泥」より 著者:久保田万太郎
つゝ立上った。――と、そのとき、急におもての格子があいた。 「御免……」 ……聞覚えのある声である。――おもわず田代は二人の顔をみた。 「どなた?」 小倉の....