聳え立つ[語句情報] »
聳え立つ
「聳え立つ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
聳え立つの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
れは、一個のカリカチュアであった。削り落しやすい火山岩であるとはいえ、川を圧して
聳え立つ蜿蜒《えんえん》たる大絶壁を、市九郎は、己一人の力で掘貫こうとするのであ....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
酸っぱい空気が澱んでいた。そしてどっちを見ても、無暗に頑丈な高塀がつづき、夜空に
聳え立つ工場の窓には明々と灯がうつり、それを距てた内側で夜業に熱中している職工た....
「階段」より 著者:海野十三
手には沢山の小引出を持ったカード函が重っていた。そしてなによりの偉観は室の中央に
聳え立つ幅のせまい螺旋階段であった。それはわずかに人一人を通せるほどの狭さで、鉄....
「空中墳墓」より 著者:海野十三
念は未だにくつることなく彼の人の上にかかっているようだ。二つの浮船の行手間近かに
聳え立つは荒涼として死の国の城壁かと思わるる月陰の地表である。凄惨限りなき空中墳....
「闖入者」より 著者:大阪圭吉
こんだようなものだ。 恰度美しい夕暮時で、わけても晴れた日のこの辺りは、西北に
聳え立つ御坂山脈に焼くような入日を遮られて、あたりの尾根と云い谷と云い一面の樹海....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
…と、峠とも山とも知れず、ただ樹の上に樹が累なり、中空を蔽うて四方から押被さって
聳え立つ――その向って行くべき、きざきざの緑の端に、のこのこと天窓を出した雲の峯....
「異質触媒作用」より 著者:寺田寅彦
の方の空間で何かキラキラ光るものがあると思ってよく見ると、日本橋の南東側の河岸に
聳え立つあるビルディングの壁面を方一尺くらいの光の板があちらこちらと這い廻ってい....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
いたことのある所も見えた。おしまいには、ロンドンの無数の尖塔、あらゆるものの上に
聳え立つセント・ポール寺院、イギリスの歴史のうえで有名なロンドン塔などが見えてき....
「魔都」より 著者:久生十蘭
「月を待乳の山に望み、風|白髭《しらひげ》の森を渡る」とはむかしの話。夜空に
聳え立つ橋場のガスタンク、綾瀬の岸には亭々たる鐘紡の煙突。頭をめぐらして奥山の方....
「バークレーより」より 著者:沖野岩三郎
訪問にも出かけなかった。 * カリフォルニヤ大学のカムパスの中央に
聳え立つ高塔は花崗石を三百七呎の高さに積み上げたルネッサンス式の建築である。ヴェ....
「利根の尺鮎」より 著者:佐藤垢石
、幼いときから利根川の水を呑んだ。泳いだ。そして釣った。 上州と、越後の国境に
聳え立つ山々へは、冬のくるのが早い。十月下旬にもう雪が降る。大赤城の山裾は長く西....
「水と骨」より 著者:佐藤垢石
方が、早く水が温まるわけになる。関東平野から、小野子、子持両山の峡谷を遠く北方へ
聳え立つ谷川岳の南西は、七月の末、土用に入っても雪渓をキラキラと望むことができる....
「キド効果」より 著者:海野十三
丘助手は、博士の門に入ることの出来た喜びを沁々と感じたことだった。「この憎々しく
聳え立つ殺人興奮の曲線?」 「これさえ見れば如何なる悪漢といえども犯行を隠しきれ....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
手の坂道に臨んだ寺をも決して閑却しない。山の手の坂道はしばしばその麓《ふもと》に
聳え立つ寺院の屋根樹木と相俟《あいま》って一幅の好画図《こうがと》をつくることが....
「秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
禅寺湖畔、三時五十分湯元。板屋に泊る。 日光の町から馬返へ行く途中、眉を圧して
聳え立つ女貌山や赤薙山の姿が、或は開けた谷間の奥に、或は繁った黒木の森の上に、電....