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「聴手〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

聴手の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
がれ》を相手にするばかりでなく、時々はねえ市さんと、そんな事にまるで冷淡の僕まで聴手《ききて》にするのだから少し変であった。しかし僕の方はそれに対して相当な挨拶....
行人」より 著者:夏目漱石
重に同情の言葉を注射した後《あと》、「じゃ残念だが始めましょうか」と云い出した。聴手《ききて》には、自分より前に兄夫婦が横向になって、行儀よく併《なら》んで坐《....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
並べて一人相撲《ひとりずもう》をとっている。せっかくの逸話もあまり長くかかるので聴手が一人減り二人減って、残るは芸術に忠実なる東風君と、長い事にかつて辟易《へき....
地球発狂事件」より 著者:海野十三
というか、新型地震というか、とにかく変った海底地震なんだ」 「ははあ」 三人の聴手は傾聴している。 「そしてね、最も興味あることは、異常地震が始めて記録された....
電気看板の神経」より 著者:海野十三
これから話そうという「電気恐怖病患者」の岡安巳太郎君が述べたてたものなんで、その聴手だった僕は、爾来大いに共鳴し、この論説の普及につとめているわけなんだが、全く....
最後の胡弓弾き」より 著者:新美南吉
からは普通の家になったのである。もはやこの家には木之助の弾く胡弓の、最後の一人の聴手《ききて》がいないのである。 木之助はすっぽりほっぽこ頭巾をかむって歩き出....
童話における物語性の喪失」より 著者:新美南吉
童話が物語性を再び身につけるには、少しでも話の内容なり文章なりが退屈になればすぐ聴手がごそごそしはじめるので全然作家のひとりよがりを許さない。この厳しい方法が最もよいと思う。....
クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
会えば、いつでも立ち停って話しをしたものですからね。や、いずれまた。」 話手も聴手もぶらぶら歩き出した。そして、他の群へ混ってしまった。スクルージはこの人達を....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
ろしいのです。それはまるで古帽子から燻ぶる反動思想のように――。』 しかし彼の聴手はフランシス・スワン夫人だけだった。夫人は仮装舞踏会に出る士官学校生徒のよう....
マダム貞奴」より 著者:長谷川時雨
そういう特種《とくしゅ》の社会哲学を、誰《たれ》が誰に語っているのかと思えば、聴手《ききて》には後《うしろ》に耳のないわたしへで、語りかけるのは福沢氏だった。....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
ざんぶをやる。自分自身で自分をメチャクチャにこきおろして、どうですといったふうに聴手の困るのを痛快がる。みじん見得《みえ》はないようで、そのくせ見得ばりで、それ....
逢魔の刻」より 著者:豊島与志雄
く感じたね。」 そこで、茶店の主人は黙りこみ、木挽が一人で饒舌り立て、私がその聴手となった。 紺の絆纒、腹掛、脚絆、草鞋ばき、膳の上には鯣と四五本の銚子、風....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
め》しい調子でしゃべるので、まったく聞き分けられなくなるほどだった。そして彼は、聴手《ききて》が胸を躍らせる時分に少しじらしてやることを、上手《じょうず》なやり....
伯林の降誕祭」より 著者:岡本かの子
うじゃあねえか、信ぜよ、そして働けよ、だ。――これがプロレタリア牧師さんの言葉。聴手は勿論プロレタリア諸君。夜は医科大学生F兄弟の宅へ招ばれ、素晴らしく大きなク....
一世お鯉」より 著者:長谷川時雨
猫のようにブルブルと軽く身顫《みぶる》いをした。人気俳優の家庭を知っていることに聴手《ききて》が興味をもつであろうと思って、そのくせ自分はキョトンとして居睡《い....