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聴衆
「聴衆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
聴衆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
時が迫って来ても、容易に開かれる気色《けしき》はなかった。会場の次の間には、もう
聴衆が大勢つめかけて、電燈の光も曇るほど盛に煙草の煙を立ち昇らせていた。中には大....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
げ》を捻《ひね》りつつ、従容《しょうよう》として検事の席に着きたり。 謹慎なる
聴衆を容《い》れたる法廷は、室内の空気|些《さ》も熱せずして、渠らは幽谷の木立ち....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
だれにでも激烈なアレッグロで終わる音楽の一片を思い起こさすだろう。がやがやと騒ぐ
聴衆のような雲や波の擾乱の中から、漁夫たちの鈍い Largo pianissim....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
律を弾き出すと、……その時、実に予想もされ得なかった出来事が起ったのである。突然
聴衆の間から湧き起った、物凄じい激動とともに、舞台が薄気味悪い暗転を始めたのであ....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
いうような当日の標語《モットオ》が、いやにおさまり返った雄弁で長々と説明された。
聴衆の拍手は段々減って来る。大きな口のあくびが見える。ぞろぞろと出て行くものすら....
「怪星ガン」より 著者:海野十三
りつきたいものと、三根夫はねがった。辻のところまでくるとテレビジョン塔が、まえに
聴衆もいないのに、ひとりでアナウンスをし、むだと見えるニュース画面を映写幕のうえ....
「霊魂第十号の秘密」より 著者:海野十三
ばいいんだ。それならお前にもできるだろう」 「それならやれますが、しかしそれでは
聴衆《ちょうしゅう》が承知しないでしょう。ぼくばかりか、お父さんもひどい攻撃をう....
「寄席と芝居と」より 著者:岡本綺堂
種であるというならば、円朝の話し口は少しく勝手違いの感があるべきであるが、自然に
聴衆を惹き付けて、常に一時間内外の長丁場をツナギ続けたのは、確かにその話術の妙に....
「巴里の唄うたい」より 著者:岡本かの子
げられる。凍る深夜の白い息吐きが――そしてたちまちはげしい自棄の嘆きが荒く飛んで
聴衆はほとんど腸を露出するまでに彼女の唄の句切りに切りさいなまれると、其処に抉出....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
いをするのではあるが。 これらの講義は、著者も滞英中、聴きに行ったことがある。
聴衆は多くは半白の老人で、立派な紳士が来る。学者もあり、実業家もある。夫婦連れの....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
ので、当日はいわゆる文明開化の新らしがりがギシと詰掛けた。この満場|爪も立たない
聴衆の前で椿岳は厳乎らしくピヤノの椅子に腰を掛け、無茶苦茶に鍵盤を叩いてポンポン....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
を定め、逐次にその芸を演ぜしむ。あたかもわが東京の寄席のごとし。会終わるに臨み、
聴衆よりおのおのその志に応じて五銭ないし二、三十銭を徴集し、その金は米国の慈善会....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
正金銀行支店長赤井氏にも面会す。食後、領事館楼上にて南半球周遊の報告演説をなす。
聴衆百五十名、金曜会の主催にかかる。 十二月三十一日(日曜)、晴れ。驟雨あり、....
「私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
の田舎者であるから、すっかり上がってしまった。会場は化学実験の階段教室であるから
聴衆が高い所に居ならんでいる。原稿を持って出たが、これを読むだけの気持の余裕がな....
「雨」より 著者:織田作之助
二つ井戸天牛書店の二階広間で、校長肝入りの豊沢広昇連中素人浄瑠璃大会がひらかれ、
聴衆百八十名、盛会であったが、軽部武寿こと軽部武彦はその時初めて高座に上った。最....