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聴覚
「聴覚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
聴覚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「筧の話」より 著者:梶井基次郎
だ」と私の理性が信じていても、澄み透《とお》った水音にしばらく耳を傾けていると、
聴覚と視覚との統一はすぐばらばらになってしまって、変な錯誤の感じとともに、訝《い....
「放送された遺言」より 著者:海野十三
えそれがいかに小さくとも聴きのがすまいと、長い円錐のように尖りきった全身の神経を
聴覚にあつめた。 「カリ、カリ、ガッ、ガッ、ジジ、カリッ……」 さてはやったな....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
生活に縁の近い触覚若しくは味覚などに依るよりも、非功利的な機能を多量に有する視覚
聴覚の如きに依ろうとする。それらの感覚に訴える手段にもまた等差が生ずる。 同じ....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
ートの中に隠れて、仙台放送局の円本博士が発明したM式マイクロフォンが麒麟のような
聴覚をもち、逓信省の青年技師|利根川保君が設計したテレヴィジョン回転鏡が閻魔大王....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
法水は皮肉に微笑み返して、「だいたいヘンゼンでもエーワルトでもそうだが、お互いに
聴覚生理の論争はしていても、これだけは、はっきりと認めている。つまり、君の云う場....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
なところである。遠くて、普通の耳には聴えぬような音も、異常に鋭くなった発作時の、
聴覚には響いてくるのである。 今しも、バイエルタールの部下二人が靴音立てて、小....
「海底都市」より 著者:海野十三
となって感ずる仕掛だった。 つまり、じっさいに相手の言葉は音響とならず、直接に
聴覚を刺戟して、音を聞いたと同じに感ずるのだった。 会談は、すらすらとは行かな....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
、この奥の室には、先刻から朝枝という娘がいるそうだけど、こんな静かな中で、盲人の
聴覚が把手の捻り一つ聴きのがすものじゃない。それにあの娘は、今朝この『|鷹の城』....
「決闘場」より 著者:岡本かの子
れほど無力に感じた時は今までに無かった。息を殺して警戒した。彼女のとぎすまされた
聴覚に別な男性らしい二人連れの近づいて来る音をも聞き分けた。 ――|おい、|相....
「明暗」より 著者:岡本かの子
し自分は眼開きの国に生きて周囲から守ること――つまり盲人本来の性能に適する触覚か
聴覚の世界へ夫を突き進ませて其処から改めて人生の意義も歓喜も受け取らせる事であっ....
「妖怪学」より 著者:井上円了
覚するや、一部は早く一部は遅く、また、眠りに就くときは、視覚神経すでに眠れども、
聴覚神経いまだ眠らざることあり。かくのごとく、全脳総体作用するにあらず、また休止....
「城」より 著者:カフカフランツ
ただ一つの高くて強い声がつくり上げられるようであり、耳を打つその声は、ただ貧弱な
聴覚よりももっと奥深くにしみとおることを要求するかのようであった。Kは、電話もか....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
。読む歌は急速に個人的な創作に変貌する。既に音楽と袖を分って文字にのり換えた歌、
聴覚から視覚へと転居した歌は、民族の声を大まかに伝えるのでなく、民族の中のある個....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:ヴェーゲラーフランツ・ゲルハルト
い花も滅びることがあるのをのろった。〕思ってもみてくれ、僕の一番大切な部分、僕の
聴覚がひどく衰えたのだ。君がまだ僕といっしょにいたあの頃、すでにその兆候を感じて....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
の忍耐力を強めてくれる。(一八一五年) * 田園にいれば私の不幸な
聴覚も私をいじめない。そこでは一つ一つの樹木が私に向かって「神聖だ、神聖だ」と語....