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聾者
「聾者〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
聾者の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「冬の日」より 著者:梶井基次郎
人のようにそとの風景を凝視《みつ》める。夜は屋の外の物音や鉄瓶《てつびん》の音に
聾者《ろうじゃ》のような耳を澄ます。 冬至に近づいてゆく十一月の脆《もろ》い陽....
「映画雑感(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
である。こういう意味でわれわれはわれわれの直接の対話の相手の言葉以外にはかなりな
聾者であり、また「外国人」である。しかし、電車の中で向こう側にすわった彼と彼女の....
「試験管」より 著者:寺田寅彦
クターヴか五度か短三度か長六度かということさえわかるものらしい。それでその著者は
聾者のための音楽が可能であろうということを論じ、また普通の健全な耳を持っている人....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
足であったり、てんぼうであったり盲目《めくら》であったり、唖者《おし》であったり
聾者《つんぼ》であったり、満足な人間はないからであった。 想うに碩学昆虫館主人....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
に残るのは、ただもう死にたいという考えばかりだ!」
それらの言葉を聞いてる者は
聾者ではなかった。クリストフはもしその滑稽《こっけい》なことを感じさせられたらま....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
しい騒ぎも、何ら不安の影を投じてこなかった。あたかもそれらの壁は、聖書にあるあの
聾者《ろうしゃ》の石ででも造られてるかのようであった。
突然、その深い静謐《せ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
た(訳者注 共に太古の人物で、前者は長命を以って後者は長眠を以って有名である)。
聾者《ろうじゃ》は盲者の手を引いた。彼らはコブレンツ(訳者注 一七九二年王党の亡....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
るのは、偏見、高価な教育の暗黒、酩酊《めいてい》によってますます高まる欲望、人を
聾者《ろうしゃ》にし愚昧《ぐまい》にする繁栄、ある者らにあっては苦しめる人々に背....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ということだった。にわかに彼は何にも見えなくなった。それからまた、しばらくの間は
聾者《ろうしゃ》になったような気もした。何も聞こえなかった。頭の上数尺の所で荒れ....
「死刑囚最後の日」より 著者:豊島与志雄
彼女にはまったく生きてるしるしもなかった。耳のなかに大声でどなりつけてやっても、
聾者のように黙っていた。 そのうちに私たちはじれだしてきた。私たちの恐怖のなか....
「鸚鵡のイズム」より 著者:寺田寅彦
の科学とどうちがうか、という問題を考えてみたいと思っている。そういうわけで盲人や
聾者の心理というものに多大な興味を感ずるようになった。 それでこの間この書物を....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
らしい。癇癪声で怒鳴るように云った。 「当方の申すことが解らぬか。唖者かそれとも
聾者なのか! ……では改めてもう一度訊く。――旅の侍が通った筈だ。ここに三本の道....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
孔雀が云った、――喰物を口にする時は四辺を見廻すと云う一事からなんだ。それが、半
聾者にとると、最も不安な時で、つまり、欧氏管から入る外部の音響が、唇で遮断されて....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
声のしないはずがない。それだのに人声がしないばかりか、咳の声さえ聞こえない。……
聾者になったのではあるまいかな?」
紋也は少しく莫迦らしくなった。で、家へ帰ろ....
「魔像」より 著者:林不忘
っかかってなんどき経っても一つことを繰り返しているので、近藤相模守には、ああして
聾者《つんぼ》の真似《まね》をされるし、今また、清廉《せいれん》をもって鳴る平淡....