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肉
「肉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
肉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「英雄の器」より 著者:芥川竜之介
からであろう。――
「そうかね。」
鼻の高い、眼光の鋭い顔が一つ、これはやや皮
肉な微笑を唇頭に漂わせながら、じっと呂馬通《りょばつう》の眉の間を見ながら、こう....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
移した。
本多子爵は壮年時代の美貌《びぼう》が、まだ暮方《くれがた》の光の如く
肉の落ちた顔のどこかに、漂《ただよ》っている種類の人であった。が、同時にまたその....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
《いろかたち》は変らずといえども、その正体《しょうたい》はおん主《あるじ》の御血
肉《おんけつにく》となり変る」尊いさがらめんとを信じている。おぎんの心は両親のよ....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
出ました。」
伝右衛門は、座につくと、太い眉毛を動かしながら、日にやけた頬の筋
肉を、今にも笑い出しそうに動かして、万遍なく一座を見廻した。これにつれて、書物を....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
を現わしていた。
「おや、昼寝かえ。」
洋一はそう云う叔母の言葉に、かすかな皮
肉を感じながら、自分の座蒲団《ざぶとん》を向うへ直した。が、叔母はそれは敷かずに....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
うに頷《うなず》いて見せた。女は霊魂《れいこん》の助かりを求めに来たのではない。
肉体の助かりを求めに来たのである。しかしそれは咎《とが》めずとも好《よ》い。
肉体....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
う今では永遠の微笑を浮かべていない。彼女の頬《ほお》もいつの間《ま》にかすっかり
肉を失っている。彼女は失踪した夫のことだの、売り払ってしまったダブル・ベッドのこ....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
ジ」と言う諢名《あだな》をつけていた。「ジンゲジ」とは彼女の顔だち(ゲジヒト)の
肉感的(ジンリッヒ)なことを意味するのだった。僕等は二人ともこの少女にどうも好意....
「狂女」より 著者:秋田滋
いた下婢がひとり彼女のそばに附いていて、その女が時折り飲物をのませたり、小さな冷
肉の片を口のところまで持っていって食べさせてやったりしていた。絶望の底にあるこの....
「墓」より 著者:秋田滋
わたくしはその女を愛しておりました。一口に愛していたと申しましても、わたくしは、
肉体的な愛慾とか、あるいはまた尋常一と通りの精神的な愛情、そのような通り一遍の気....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
な気持になることもあった。だが私は、整頓するということを考えただけで、精神的にも
肉体的にも疲労を感じてしまうので、私にはこの厭わしい仕事に手をつける勇気がなかっ....
「初雪」より 著者:秋田滋
ったように冷たい屋敷の空気がいよいよ辛くなって来た。人間は齢を重ねるにつれてその
肉体から温かみが失せてゆくものだが、それと同じように、この古色蒼然たる屋敷も、幾....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
ても珍重するから」と書いてやった。また自分の属する教会の長老には寺院のお祭りや謝
肉祭の光景、コロシウムの廃跡等をくわしく書きおくり、若い友人にはフランス語の学び....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
く寝かしつけられて、パイの皮のなかにくるまれている。鵞鳥は自分のからだでつくった
肉汁のなかを泳いでいる。家鴨は皿の上に二羽ずつきちんと並び、きれいな新婚夫婦のよ....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
る血が流れるのを眺め、それが柔かな、冷たい、動かない、考えることもしない一塊りの
肉にほかならないと思うのは、必ずや不思議な、心地よい快楽であろう。 八月五日―....