肉太[語句情報] » 肉太

「肉太〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

肉太の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
のでそれがきょうの新聞である事がすぐ察せられた。はたして第一面には「聖寿万歳」と肉太《にくぶと》に書かれた見出しの下に貴顕の肖像が掲げられてあった。葉子は一か月....
永日小品」より 著者:夏目漱石
板《ぬりばん》に書いてある記元節の記の字へ棒を引いて、その傍《わき》へ新しく紀と肉太《にくぶと》に書いた。ほかの小供は笑いもせずに驚いて見ていた。さきの小供が席....
虞美人草」より 著者:夏目漱石
裏から井上孤堂《いのうえこどう》の四字が明かにあらわれる。白い状袋に墨を惜しまず肉太に記した草字《そうじ》は、小野さんの眼に、針の先を並べて植えつけたように紙を....
京に着ける夕」より 著者:夏目漱石
き》であるか眼前《がんぜん》に髣髴《ほうふつ》する材料もないのに、あの赤い下品な肉太《にくぶと》な字を見ると、京都を稲妻《いなずま》の迅《すみや》かなる閃《ひら....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
の分厚い封筒を受取った。それは思いがけなく逃走中の支倉喜平から来たもので、巻紙に肉太の達筆で長々と認めてあった。何となく圧迫されるような気持で封を切った石子刑事....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
して、 「とうてい及びもつかねえ――」 ついにそれを抛《なげう》って、次にやや肉太な他の一本を取って、同じく臨※を試みたが、この方が主膳の趣味筆力にも合致する....
南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
は時々微笑する。嬰児のような愛らしさがある。高すぎる程高い鼻。男のそれのように、肉太である。口やや大きく唇薄く、そこから綻びる歯の白さ、象牙のような光がある。秀....
仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
ずじゃ、頼母であったはずじゃ」 云い云い頼母は老いても衰えない、盛り上っている肉太の膝を、お八重の方へニジリ寄せた。 お八重は背後へ体を退らせたが、しかしそ....
火の扉」より 著者:岸田国士
おとしたまゝ、夫の言葉に耳をかたむけていた。 封書の表には、「井出一徳遺書」と肉太に認められ、そのかたわらに、「昭和二十年十一月末日以後ニ非レバ開封スベカラズ....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
庫から釘を取り出した。 「見るがいいこの釘を。先が細く頭部が太く、そうして全体が肉太だ。ちょっと持っても持ち重りがする。しかし形や寸法は、何ら五寸釘と異りがない....
キド効果」より 著者:海野十三
た曲線というのが、第四図に示すようなものであった。測定者という項目には、「丘」と肉太のサインを入れることを忘れなかった。 「ほほう――」と博士は提出された Fi....
人間山中貞雄」より 著者:伊丹万作
重厚でなければならない。稚拙でなければならない。素朴でなければならない。もう少し肉太でなければならない。もう少し大味でなければならない。また彼の京都弁のごとく、....
審判」より 著者:カフカフランツ
は、上塗りのしてない角材で組み上げられ、その上にはティトレリという名前が赤い色で肉太の筆描きをもって書かれていた。子供たちを従えたKが階段の真ん中まで来るやいな....
鮪を食う話」より 著者:北大路魯山人
類には値段の安い白色肉のめかじき(切り身用)、同じく白肉の黒皮、この黒皮まぐろは肉太で、八、九十貫もあって値も安い。また、白皮まぐろ、これは銚子、三陸方面に漁獲....
透明人間」より 著者:ウェルズハーバート・ジョージ
して、やっと一|通の手紙をかきあげると、封をして、宛名をしたためた。 それには肉太の博士のいつもの字で、 『ポート・バードック署 アダイ警部どの』――と書かれ....