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肉慾
「肉慾〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
肉慾の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
に引きずって行かれねばならぬ重みの幾つかを、何故好んで腰につけたのか。何故二人の
肉慾の結果を天からの賜物《たまもの》のように思わねばならぬのか。家庭の建立《こん....
「星座」より 著者:有島武郎
さと、滑らかさと、温かさと、匂いとをもって彼を有頂天にした女、……柿江はたんなる
肉慾のいかに力強いかを感じはじめねばならなかった。彼は自分が恐ろしくなった。自分....
「牛肉と馬鈴薯」より 著者:国木田独歩
骨に申しますが、僕はこれぞという理想を奉ずることも出来ず、それならって俗に和して
肉慾を充《みた》して以て我生足れりとすることも出来ないのです、出来ないのです、為....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
慾の遂行のように思われる時があっても、それをお前が今まで考えていたように、簡単に
肉慾の遂行とのみ見てはならぬ。同様に、その要求が一見霊に属するもののように思われ....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
習癖は深く魂の中に喰い入りて、しばしば個性の主要部となるに至るもので、一たん肉感
肉慾の誘惑にかかった魂は、終にその奴隷とならずんば止まぬ。彼は到底清純無垢の境地....
「華々しき瞬間」より 著者:久坂葉子
、彼女は否定してみた。そして否定したことが、自尊心の故でなく、彼に感じたものが、
肉慾をはなれて成立する非常に純粋なものがあると思ったからなのだ。感じるだけでいい....
「風と光と二十の私と」より 著者:坂口安吾
しか書けない一人だろうと私は思った。ただ、子供とはあべこべに、徹頭徹尾色っぽく、
肉慾的だ。最も女であった。その淫奔な動物性が、娘の野性と共通しているだけだった。....
「青鬼の褌を洗う女」より 著者:坂口安吾
達が口説くというよりただもうむやみにからだを求めるのを嫌うわけではなく、私自身は
肉慾的な要求などはあんまりないのだけれども、私は男女が愛し合うのは当然だと思って....
「学生と生活」より 著者:倉田百三
、あわれむべき状態に堕ちる恰好の原因となるものだ。 遊戯恋愛の習慣
肉慾にまで至らない軽い遊戯恋愛の習慣はこれとは別の害毒を持つものである。すなわち....
「裏切り」より 著者:坂口安吾
、軽蔑の念がなくても云えない性質のものだろうと思います。ですから彼が八千代さんに
肉慾的な執着をもっているのは明白なんですが、トオサンの信用を得ておくためには、そ....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
った。それとは、真実似てもつかぬ、血と人体形成の悲劇だったのである。 狂乱した
肉慾が、神の定めも人の掟もあっけなく踏み越えて、ただひたすらに作り上げた傑作がこ....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
現実的な人間は、もっともっと小さくて汚く、卑しいところもあるものである。それは
肉慾の問題、チャタレイ的なことのみを指すものではありません。
肉慾などよりも、精神....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
教を聞きに行く位の事で、それとても毎晩ある訳のものではない。夏は随分|忙しいから
肉慾上の事もよけいに起らんですけれども、夏過ぎて少し暇になりますと彼らが打寄って....
「とと屋禅譚」より 著者:岡本かの子
た上に西洋風の塔が取って付けたように抽き立っていた。すべてが埃に塗れて汚らしく、
肉慾で人を繋ぐグロテスクで残忍な獄屋の正体をありありと見せ付けられる感じがした。....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
に、慧鶴はそれもしなかったらしい。美しい詩をつくり、美しい筆蹟を習って思を遣る。
肉慾的のものとしては飲酒だけにすべてを籠めてしまったような形跡である。こういう弛....