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肉的
「肉的〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
肉的の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
けてしまった。驚きの表情はすぐ葉子の顔から消えて、妖婦《ようふ》にのみ見る極端に
肉的な蠱惑《こわく》の微笑がそれに代わって浮かみ出した。
「ちょっと驚かされはし....
「錯覚自我説」より 著者:辻潤
説者はなるほど腐る程いるかも知れない。しかし、真に独創的な思想を披瀝し、それを血
肉的に体験して、日常生活の上にも、それを生かしている人間はまことに少ない。 単....
「善の研究」より 著者:西田幾多郎
「すでにわれ生けるにあらず基督《キリスト》我にありて生けるなり」といったように、
肉的生命の凡《すべ》てを十字架に釘付け了《おわ》りて独り神に由りて生きんとするの....
「家」より 著者:島崎藤村
真面目でいるのか、不真面目でいるのか、自分ながら解らないように思った。「とにかく
肉的なと言ったら、私は素人の女の方がどの位
肉的だか知れないと思います……」こんな....
「大衆文芸作法」より 著者:直木三十五
Erewhon.(エレホーン) nowhere を逆に綴ったのであって、彼の皮
肉的理想郷を提示しているのである) Erewhon Revisited.(エレ....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
求である。パウロがも早我生けるにあらず、基督我に在りて生けるなりと言つたやうに、
肉的生命の全部を十字架の上に釘け終りて独り神によりて生きんとするの情である。真正....
「日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
方に於て非合理主義、反理性主義であると共に、他方に於て奪魂(エクスタシス)的で即
肉的な体験だろう(「肚」の哲学などを見よ)。之こそ論理機能の原始化であり、論理的....
「娯楽論」より 著者:戸坂潤
そのものの不快な快楽とが生まれる。淫するというのは之を指すのだ。淫することは何も
肉的欲情に限ったことではない、快楽一般の法則だ。この淫楽はおのずから自棄に通じ、....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
ほどの女にまじって、二、三人の男も見える。みな裸体に近い簡単な服装で、おどりは筋
肉的な基本的旋律運動だ。最初は教授の実際を示すためとあって、スタンカによる実習、....
「野ざらし」より 著者:豊島与志雄
です。僕はこう思います、妻子のある相当年配の男が恋をする場合には、その恋は極めて
肉的な淫蕩なものであるか、或は極めて精神的な清浄なものであるか、そのどちらかだと....
「母の上京」より 著者:坂口安吾
たりといふたのもしさが生れたせゐだ。淪落の世界では助けるといふ一方的な関係から血
肉的な親密は生れてこない。夏川は淪落世界の意外に温帯的な住み良さに驚いたが、一方....
「サレーダイン公爵の罪業」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
には余りに早かった。なぜといって二人の力量は不思議なほどに互角で、公爵は一種の皮
肉的な自信を以て覚えの腕を振いつつあるに対し、アーントネリは殺狂的の用心を以てふ....
「地上」より 著者:島田清次郎
にいられないような「裏の畑に――」の唄を春の夜の一室で歌い出した。堪らないような
肉的な哄笑が隣りの女中達からはじまった。綾子は仕方なしのように、「みんなこっちへ....
「日本のこころ」より 著者:中谷宇吉郎
をとり入れる必要がある。 しかしこういう能率生活は、人間を非常に疲労させる。筋
肉的というよりも、毎日七時間四十分、一分の遅刻もなく、機械のように働くことは、精....
「ロザリオの鎖」より 著者:永井隆
ます。純潔を失った人々のつくる家の中には絶えず暗いかげがちらついています。一時の
肉的興奮にうち負かされたために、長い一生暗いかげを背負って暮らすとはなんという愚....