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肉親
「肉親〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
肉親の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
しは度たび他人のことを「死ねば善い」と思ったものである。しかもその又他人の中には
肉親さえ交っていなかったことはない。
又
わたしは度たびこう思った。....
「富士」より 著者:岡本かの子
人間もまだ稚純な時代であった。自然と人とは、時には獰猛《どうもう》に闘い、時には
肉親のように睦《むつ》び合った。けれどもその闘うにしろ睦ぶにしろ両者の間には冥通....
「家霊」より 著者:岡本かの子
を頼みますよ」 と言われて、彼女はまた 「えへへん」と笑った。もっとも昔から、
肉親同志で心情を打ち明けたり、真面目《まじめ》な相談は何となく双方がテレてしまう....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
、いまの彼として聞いてはならぬものだった。なぜならこの青年紳士は、先刻から一人の
肉親の弟を探しまわっているのであったから。 なぜこの紳士は、弟を探廻らなければ....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
らだけらしい。僕の名の栄というのも、この伯母の名のよみを取ったものだ。 しかし
肉親というものはさすがに争われない。猪伯父も一昌伯父も吃った。丹羽の老人も吃った....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
いった。 「また、羽織を曲げて着てますね。だらしのない」 これがかの女に対する
肉親の情の示し方だった。 むす子はかの女と連れ立って歩くときに、ときどき焦れて....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
めて家名を郷党に刻もうとしたのも、この悔を薄める手段に外ならなかった。 逸作は
肉親関係に対しては気丈な男だった。 「芸術家は作品と理解者の外に
肉親はない。芸術....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
、あわただしく電話をかけて来て、帆村にすがりついたその事件というのは、土居記者の
肉親の妹が、今朝殺人容疑者としてその筋へ挙げられたことにある。土居はその妹の潔白....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
、掘立普請の斎が出るだね。へい、墓場の入口だ、地獄の門番……はて、飛んでもねえ、
肉親のご新姐ござらっしゃる。」 と、泥でまぶしそうに、口の端を拳でおさえて、 ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
来て、私の説諭を仰せつけられました。何にしろとても逢われないものと思い込んでいた
肉親の祖父が、元の通りの慈愛に溢れた温容で、泣き悶えている私の枕辺にひょっくりと....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
いと思う。他の幼い二人については、伸が何とか言うていたが、これも山田とかその他の
肉親のもので世話するというならともかく、やはり家で育て上げようじゃないか。 し....
「坑鬼」より 著者:大阪圭吉
品を、進み出て抱え上げた坑夫があった。父母の亡くなったお品にとって、たった一人の
肉親である兄の岩太郎であった。 女を抱きあげながら岩太郎は、憎しみをこめた視線....
「春」より 著者:岡本かの子
として或る精神病院へ終身患者として入れられていた京子を――京子は士族で中産階級の
肉親とも死別し、財産もなくして居た――加奈子は自分の家へ引き取って来た。 京子....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
構わない、あんな嬉しい話を聞いた事は生れてからはじめてです。だって、余計なものは
肉親も駢指でしょう、(血と肉と一つに溶けるのは、可愛い恋しい人ばかりだ。)という....
「恐怖の幻兵団員」より 著者:大倉燁子
『じゃ、あなたが訊いてみたらいいんだ』 『だって、仰しゃらないんですもの』 『
肉親だけですよ。ほんとの同情者は――、打ち開けてさえくれれば、僕は兄さまの苦しみ....