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「肉身〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

肉身の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
、なおさらおれは、何に換えても、あの女を失いたくない。 その沙金を、おれは今、肉身の弟に奪われようとしている。おれが命を賭《か》けて助けてやった、あの次郎に奪....
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
人会議に出席した。信輔は彼の友だちの前にこう言う父を見ることを恥じた。同時にまた肉身の父を恥じる彼自身の心の卑しさを恥じた。国木田独歩を模倣した彼の「自ら欺かざ....
道祖問答」より 著者:芥川竜之介
うは、悉く己《おの》が身の仏性《ぶっしょう》を観ずると云う意《こころ》じゃ。己が肉身は、三身即一の本覚如来《ほんがくにょらい》、煩悩|業苦《ごうく》の三道は、法....
俊寛」より 著者:芥川竜之介
ゃ。おれは目が眩《く》らみながら、仰向《あおむ》けにそこへ倒れてしもうた。おれの肉身に宿らせ給う、諸仏《しょぶつ》諸菩薩《しょぼさつ》諸明王《しょみょうおう》も....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
のだった。しかも、背後には、恐ろしい火の手が迫っていた。黄一郎親子は、感謝すべき肉身の死骸の直ぐ傍に立っておりながらも、遂にそれと気付かず、蒸し焼きにされそうな....
河明り」より 著者:岡本かの子
ろが臨終に最後の力を出して、僕を母親から奪おうとしたときの、死にもの狂いの力と、肉身を強味に冷やかに僕を死ぬ女の手から靠ぎ取った母親の様子を、今でもありありと思....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
す。長い袖は、腥い風を起して樹を枯らす。悶ゆる膚は鱗を鳴してのたうち蜿る。ふと、肉身のものの目に、その丈より長い黒髪の、三筋、五筋、筋を透して、大蛇の背に黒く引....
出奔」より 著者:伊藤野枝
。今日まで一日だって明るい気持ちになったことはない。いつも忌々しいと思いながら、肉身というふしぎなきずなに締めつけられて暗い重くるしい気持ちがはなれない。自分で....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
へ捲きましたが、 (お退きと云うに。――やあ、お道さんの御母君、御母堂、お記念の肉身と、衣類に対して失礼します、御許し下さい……御免。) と云うと、抱倒して、....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
人にこそ言わね、昨夜より我は信じて疑わぬ。 何が不足で一所に死ねぬ―― 「その肉身か。」 と己が頭髪を掴んで、宙に下がるばかり突立った。 「卑怯だ、此奴! ....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
て了います。私などは随分我執の強い方でございますが、それでもだんだん感化されて、肉身のお祖父様のようにお慕い申上げ、勿体ないとは知りつつも、私はいつしかこの神様....
無表情の表情」より 著者:上村松園
の舞台に立つと、顔上面なく、面裡人なしとでも申しましょうか、その面と人とが精神も肉身も合致合体、全く一つのものに化してしまって、さながらに厳然たる人格と心格を築....
妖怪学」より 著者:井上円了
。 つぎに第二時代の説明は、身心二元の関係を知り、心元は全く無形にして、有形の肉身と全くその性質を異にすることを知り、物心のほかに一種霊妙の神体ありて物心二者....
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
いよ剃髪して慧鶴という法名を受け、修道僧として出発したときの誓いはこうである。「肉身のまま火も焼くこと能わず、水も溺らすことの出来ない威力を得るまでは、どんな苦....
魂の喘ぎ」より 著者:大倉燁子
にもかからなかったが、喧嘩で大怪我をしたのが原因で死にました。その時悲しむはずの肉身達はほっと安心し、最初で最後の親孝行だと父は喜びました。不良性は私の血統にあ....