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「肌寒い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

肌寒いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
六人が六人とも、五十歳以上の老人ばかり揃っていたせいか、まだ春の浅い座敷の中は、肌寒いばかりにもの静《しずか》である。時たま、しわぶきの声をさせるものがあっても....
鳥辺山心中」より 著者:岡本綺堂
暗い空から走って来た。それが秋の夜らしい気分を誘って、酒を飲まないお染はなんだか肌寒いようにも思われた。 お花は酔って唄った。 ※立つる錦木《にしきぎ》甲斐....
秋の暈」より 著者:織田作之助
きて、机の前に坐っているのだが、八月にはいって間もなくの夜明けには、もう浴衣では肌寒い。ひとびとが宵の寝苦しい暑さをそのまま、夢に結んでいるときに、私はひんやり....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
しくきこえて、馴れている平助もおのずと佗しい思いを誘い出されるような夜であった。肌寒いので炉の火を強く焚いて、平助は宵から例の一合の酒をちびりちびりと飲みはじめ....
小公女」より 著者:菊池寛
たのよ。」 その時戸が開いて、アアミンガアドがよろよろと入ってきました。彼女は肌寒い暗闇の中から、すっかり飾られた部屋に入って来ると、思わず声をあげました。 ....
落ちてゆく世界」より 著者:久坂葉子
いうのに、今年はからりと晴れた日はまだ一日もなく、なんだか、あついような、そして肌寒い毎日でありました。 「唯今かえりました。おそくなりまして。いかがでございま....
探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
じられた東北の暗い町は春が来てもやはり薄暗く沈んでいた。四月といっても朝夕はまだ肌寒いのに、けさは細かい雨が一日しとしとと降り暮らして、影のうすい電灯がぼんやり....
貞操問答」より 著者:菊池寛
七月、もうすっかり夏であるべきはずだのに、この三日ばかり、日の目も見せず、時々降る雨に、肌寒いような涼しさである。 今も、小雨が降っている。だが空はうす白く、間もなく....
光は影を」より 著者:岸田国士
つたが、一面、近来ますます物質への執着が高じている父の、往生際のわるさにも、やゝ肌寒い思いをさせられた。 争議の余波が一応おさまつて、工場の空気もどうやら平静....
鰻に呪われた男」より 著者:岡本綺堂
処からか帰って来るかも知れないと、わたくしは女中の敷いてくれた寝床の上に坐って、肌寒い一夜を眠らずに明かしました。 散歩に出た途中で、偶然に知人に行き逢って、....
勝負師」より 著者:織田作之助
池の向うの森の暗さを一瞬ぱっと明るく覗かせて、終電車が行ってしまうと、池の面を伝って来る微風がにわかにひんやりとして肌寒い。宵に脱ぎ捨てた浴衣をまた着て、机の前に坐り直した拍子に部屋のなかへ迷い込....
明暗」より 著者:岡本かの子
げますわ」 智子は心に絶望に近いものを感じながら、こんなお座なりを云ったことが肌寒いように感じられて夫の方を今更ながら振り返った。悲しみをじっと堪えるように体....
夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
分乗りものが有ろう筈もない。 然るに湧き返る青年達の血潮は玄海灘から吹きつける肌寒い夜風位いには驚きません。歌論は歌論へ、秋月は歌心へ、帰り行く友を送ってそこ....
白い蝶」より 著者:岡田三郎助
友の家を出たのは、最早夕暮であった、秋の初旬のことで、まだ浴衣を着ていたが、海の方から吹いて来る風は、さすがに肌寒い、少し雨催の日で、空には一面に灰色の雲が覆い拡って、星の光も見えない何とな....
世間師」より 著者:小栗風葉
もう故郷の土を踏んでいるのだと思うと、意気地なく涙が零れた。海から吹き揚げる風が肌寒い。 こうなると、人間というものは妙に引け身になるもので、いつまでも一所に....