股火[語句情報] » 股火

「股火〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

股火の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
に腰をかけて、いつでも疲れているような痩せしょびれた小さな顔を上向き加減にして、股火鉢をしていた、干からびた唇を大事そうに結びながら。 煤《すす》けたホヤのラ....
夜行巡査」より 著者:泉鏡花
かい。ときに爺さん、手間は取らさねえからそこいらまでいっしょに歩《あゆ》びねえ。股火鉢《またひばち》で五合《ごんつく》とやらかそう。ナニ遠慮しなさんな、ちと相談....
復讐」より 著者:夢野久作
その下に据えられた大火鉢に近く、二人の男が長椅子を引き寄せてさし向いになりながら股火をしているのであった。 扉に背を向けているのは若い院長の健策で、糊の利いた....
青年」より 著者:森鴎外
せられた話をするのを聞いても、当り前だとも不当だとも云わない。縁の焦げた火鉢に、股火をして当っていたのが、不精らしく椅子を離れて、机の上に置いてあった角燈を持っ....
山峡新春」より 著者:宮本百合子
鳴らすが、小屋は満員で、騒然としていて、顔役は、まがい猟虎《らっこ》の襟付外套で股火をし、南京豆の殼が処嫌わず散らかっているだけだ。山塞の頭になった役者が粗末な....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
く、肉迫的ではなかった。 ことにこうまで露骨に出ながら、火鉢の傍に立膝の形で、股火にでもあたっているような、だらしない形――女というものはこうまで図々しくなれ....
特殊部落の犯罪」より 著者:豊島与志雄
かじりながら、火の方へよろめき寄った。木の切株の腰掛へ臀を落付けて残り少ない火で股火をしてると涙がぼろぼろ流れた。 二 つるは何だか落付かない様子だ....
中庸」より 著者:坂口安吾
吹きすさぶ暮方であった。余が小使にみちびかれて職員室に入ると、外套を肩からかけて股火鉢をしていた女性がいたが、それが彼女であった。余を見ると軽く会釈し、 「退屈....
巷説享保図絵」より 著者:林不忘
びていた。そこのところに、辻《つじ》待ちの駕籠屋《かごや》が、戸板をめぐらして、股火《またび》をしていた。そこから、二|梃《ちょう》拾って日本橋へ走らせた。いつ....
草紅葉」より 著者:永井荷風
見向きもしなかった。 寒くなると、爺さんは下駄棚のかげになった狭い通路の壁際で股火《またび》をしながら居睡《いねむり》をしているので、外からも、内からも、殆ど....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
った。 総門の両側には、莚がこいの駕屋の溜りがある。そこにも、二、三名の侍が、股火をしながら、総門の出入りを睨んでいた。 そのほか、編笠茶屋の床几だの、向い....
大岡越前」より 著者:吉川英治
へ入れねえと、冷えてならねえ。早くしてくんな」 番太郎の庄七は、番小屋の土間で股火をしながら、台所の物音へ、うどんの催促をしていた。 おたつは、七輪の土鍋を....