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肥
「肥〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
肥の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
けたことを感じた。しかもそれは顔ばかりではなかった。お芳は四五年以前には円まると
肥《ふと》った手をしていた。が、年は彼女の手さえ静脈の見えるほど細らせていた。そ....
「影」より 著者:芥川竜之介
ろしい。さようなら。」
陳は受話器を元の位置に戻すと、なぜか顔を曇らせながら、
肥った指に燐寸《マッチ》を摺《す》って、啣えていた葉巻を吸い始めた。
……煙草....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
発端
肥後《ひご》の細川家《ほそかわけ》の家中《かちゅう》に、田岡甚太夫《たおかじんだ....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
便りなさが、一層心に沁《し》みるような気がした。それからまた以前よりも、ますます
肥《ふと》って来た牧野の体が、不意に妙な憎悪《ぞうお》の念を燃え立たせる事も時々....
「金将軍」より 著者:芥川竜之介
の雲水《うんすい》ではない。実ははるばる日本から朝鮮の国を探《さぐ》りに来た加藤
肥後守清正《かとうひごのかみきよまさ》と小西摂津守行長《こにしせっつのかみゆきな....
「子供の病気」より 著者:芥川竜之介
間《ま》の容子《ようす》を窺《うかが》いに行った。するともう支度の出来た伯母は着
肥《きぶと》った子供を抱きながら、縁側をあちこち歩いていた。自分は色の悪い多加志....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
とも僕の目には気味の悪い見ものにも違いなかった。
この部屋に僕等を迎えたのは小
肥《こぶと》りに
肥った鴇婦《ポオプウ》だった。譚は彼女を見るが早いか、雄弁に何か....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
よいよ》彼の人柄に敬服した。その敬服さ加減を披瀝《ひれき》するために、この朴直な
肥後侍《ひござむらい》は、無理に話頭を一転すると、たちまち内蔵助の忠義に対する、....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
ていた。ある地方の高等学校へ、去年の秋入学した兄、――彼よりも色の黒い、彼よりも
肥《ふと》った兄の顔が、彼には今も頭のどこかに、ありあり浮んで見えるような気がし....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
ある婦人雑誌社の面会室。
主筆 でっぷり
肥《ふと》った四《し》十前後の紳士《しんし》。
堀川保吉《ほりかわやすきち》 ....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
いる。その一つ向うのテエブルには、さっき二人と入れちがいにはいって来た、着流しの
肥った男と、芸者らしい女とが、これは海老《えび》のフライか何かを突《つっ》ついて....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
と言うほどではない。もっともまた醜婦《しゅうふ》と言うほどでもない。ただまるまる
肥《ふと》った頬《ほお》にいつも微笑《びしょう》を浮かべている。奉天《ほうてん》....
「魚河岸」より 著者:芥川竜之介
ぶった客が一人、ぬっと暖簾《のれん》をくぐって来た。客は外套の毛皮の襟《えり》に
肥った頬《ほお》を埋《うず》めながら、見ると云うよりは、睨《にら》むように、狭い....
「寡婦」より 著者:秋田滋
一同が部屋へ寝に引上げてしまうと、彼女の話でその静かな心を乱された、でッぷり
肥った一人の猟人が、隣にいた男の耳に口を寄せて、低声でこう云った。 「せんちめんたるもあすこまで行くと不幸ですなあ!」....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
ち農夫の一人娘がいた。彼女は花はずかしい十八歳の乙女だった。しゃこのように丸々と
肥って、熟して柔らかで赤い頬は、まるで彼女の父のつくった桃にも似ていた。そして、....