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肩掛
「肩掛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
肩掛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
いる、――そこにひどく顔色の悪い、眼鏡《めがね》をかけた女が一人、余り新しくない
肩掛をしたまま、俯向《うつむ》き勝に佇《たたず》んでいた。
「どなた様でございま....
「葱」より 著者:芥川竜之介
六時、お君さんは怪しげな紫紺《しこん》の御召《おめし》のコオトの上にクリイム色の
肩掛をして、いつもよりはそわそわと、もう夕暗に包まれた小川町の電車停留場へ行った....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
は、妙齢には御難だけれども、この位な年配で、服装が可いと威が備わる。それに焦茶の
肩掛をしたのは、今日あたりの陽気にはいささかお荷物だろうと思われるが、これも近頃....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
附いたステッキが薪のように一束となって其傍に投り出されていた。 一方の片隅には
肩掛や膝掛が焼焦だらけ水だらけになって一と山積んであった。中には自働車や馬車に乗....
「橋」より 著者:池谷信三郎
いた。同性愛に陥った二人の女学生は、手をつなぎ合せながら、可憐しそうに、お揃いの
肩掛を買っていた。エレベーターがちょうど定員になったので、若夫婦にとり残された母....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
さげて。) 木戸の外には小親ハヤわれを待ちて、月を仰ぎて彳みたり。 頭巾着て
肩掛引絡える小親が立姿、月下に斜なり。横向きて目迎えたれば衝と寄りぬ。立並べば手....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
のために控えの席へ迎え入れて、滞りなく既に夕餉を進めた。 されば夫人が座の傍、
肩掛、頭巾などを引掛けた、衣桁の際には、萌黄の緞子の夏衾、高く、柔かに敷設けて、....
「露肆」より 著者:泉鏡花
りとしたのは、鼻紙も財布も一所に突込んだものらしい。 ざっと一昔は風情だった、
肩掛というのを四つばかりに畳んで敷いた。それを、褄は深いほど玉は冷たそうな、膝の....
「小公女」より 著者:菊池寛
いました。セエラは一歩退いて、飾られたテエブルを眺めました。そこにあるのは、赤い
肩掛をかけた古テエブルと、鞄から出した塵屑とだけでしたが、セエラは魔法の力で、奇....
「化鳥」より 著者:泉鏡花
の一|人もなかったといいます。 あわれだとお思いなすって、母様がお銭を恵んで、
肩掛を着せておやんなすったら、じいさん涙を落して拝んで喜びましたって、そうして、....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
城の中庭へ引っ立てて来た。女のジプシーの群れの中では、頭から足のさきまで真っ赤な
肩掛を着た一人のひょろ長い、痩せこけた、ものすごい顔の老婆がすぐに目についた。そ....
「しっかり者のすずの兵隊」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
スリンのスカートをつけて、ちいさな細い青リボンを肩にゆいつけているのが、ちょうど
肩掛のようにみえました。リボンのまんなかには、その子の顔ぜんたいぐらいあるぴかぴ....
「窃む女」より 著者:黒島伝治
ので、子供から何か要求されると、どうしてもそれをむげに振去ることが出来なかった。
肩掛け、洋傘、手袋、足袋、――足袋も一足や二足では足りない。――下駄、ゴム草履、....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
し。」 お絹が、階子段を転げた時から、片手に持っていた、水のように薄色の藤紫の
肩掛を、俯向いた頬へ当てたのです。 ――舞台、舞台ですか…… 舞台どころじゃ....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
で帰るのを、立合わせた台所から、お悦が送り出すと、尖った銀杏返を、そそげさして、
肩掛もなしに、冷い頸をうつむけて、雨上りの夜道を――凍るか……かたかたかたかたと....