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肩衣
「肩衣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
肩衣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
杉野大三郎もことし十三で吟味の願いを出した。大三郎は組中でも評判の美少年で、黒の
肩衣《かたぎぬ》に萠黄《もえぎ》の袴という継※※を着けた彼の前髪姿は、芝居でみる....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
れで飯を食うというわけではありませんが、千五百石の殿様が清元の太夫さんになって、
肩衣をつけて床にあがるというのですから、世間に類の少いお話と云っていゝでしょう。....
「川中島合戦」より 著者:菊池寛
歳。 この日、越の主将上杉輝虎(本当はまだ政虎)は紺糸縅の鎧に、萌黄緞子の胴|
肩衣をつけ、金の星兜の上を立烏帽子白妙の練絹を以て行人包になし、二尺四寸五分順慶....
「桶狭間合戦」より 著者:菊池寛
一攫みに攫んで投げ入れると一拝して帰って仕舞った。信長の弟勘十郎信行の折目正しい
肩衣袴で慇懃に礼拝したのとひき比べて人々は、なる程信長公は聞きしに勝る大馬鹿者だ....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
にしても直《ただち》に其場より修羅の衢《ちまた》に踏込もうというのに袴《はかま》
肩衣《かたぎぬ》で、其
肩衣の鯨も抜いたような形《なり》も変である。利久高足と云わ....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
忠義と知行で、てむかいはなさらぬかしら。しめた、投げた、嬉しい。そこだ。御家老が
肩衣を撥ましたよ。大勢が抜連れた。あれ危い。豪い。図書様抜合せた。……一人腕が落....
「栃の実」より 著者:泉鏡花
の花が咲重りつつ、屋根ぐるみ引傾いた、日陰の小屋へ潜るように入った、が、今度は経
肩衣を引脱いで、小脇に絞って取って返した。「対手も丁度|可かったで。」一人で駕籠....
「雪たたき」より 著者:幸田露伴
ている二人がある。客はあたたかげな焦茶の小袖ふくよかなのを着て、同じ色の少し浅い
肩衣の幅細なのと、同じ袴。慇懃なる物ごし、福々しい笑顔。それに引かえて主人は萎え....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
、役僧め、媼を取って突飛ばすと、人の天窓の上へ尻餅を搗いた。あれ引摺出せと講中、
肩衣で三方にお捻を積んで、ずらりと並んでいやがったが、七八人|一時に立上がる。忌....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
かれらが華やかな島田に結って、紅い総のひらめくかんざしをさして、高座にあらわれた
肩衣姿は、東京の若い男達の渇仰のまととなっていた。容貌は富子の方が少し優っていた....
「後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
佐守御自身の御吟味、やがてシッ/\という警蹕の声が聞えますと、正面に石川土佐守|
肩衣を着けて御出座、その後にお刀を捧げて居りますのはお小姓でございます。少しく下....
「梟雄」より 著者:坂口安吾
がいかめしくてガンクビの物々しい年寄ばかり七百何十人も取りそろえ、これに折目高の
肩衣袴という古風な装束をさせて、正徳寺の廊下にズラリとならべ、信長の到着を迎えさ....
「銅銭会事変」より 著者:国枝史郎
く甲斐守の屋敷へ着いた。門を潜り、玄関を抜け、叔父の部屋へ走り込んだ。 依然|
肩衣を着けたまま、甲斐守は坐っていた。 「おお弓之助か、どうであった?」 「まず....
「血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
目茶苦茶に殺せ! 聚楽の栄華も先が知れている」 こう呟いた者があったが、刺繍の
肩衣に前髪立の、眼のさめるような美少年であった。美童は不破伴作であった。 狂人....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
も、なかなか風情のある眺望であった。 濃化粧の顔、高島田、金糸銀糸で刺繍をした
肩衣、そうして熨斗目の紫の振袖――そういう姿の女太夫の、曲独楽使いの浪速あやめが....