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肭
「肭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
肭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
を云う間《あいだ》に、その缶詰を取り上げて見た。
「貼紙《ペーパー》を見給え。膃
肭獣《おっとせい》だよ。膃
肭獣の缶詰さ。――あなたは気のふさぐのが病だって云うか....
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
な冒険譚《ぼうけんだん》の主人公であった。まだ海豹島《かいひょうとう》へ行って膃
肭臍《おっとせい》は打っていないようであるが、北海道のどこかで鮭《さけ》を漁《と....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
談もいい加減にしろ」と、私もしまいにはたまらなくなって、言った。「人間が、蛙や膃
肭獣じゃあるまいし、水に棲めるかってんだ。サアサア、早いところ本物をだしてくれ」....
「爬虫館事件」より 著者:海野十三
込み、しぶきをあげて水中を潜りぬけたり、手足をウンと伸したり、なんのことはない膃
肭獣のような真似をすること三分、ブルブルと飛び上って強い髭をすっかり剃り落すのに....
「食魔」より 著者:岡本かの子
摂れなくなって、彼はベッドに横わり胸を喘ぐだけとなった。鼈四郎は、それが夜店の膃
肭獣売りの看板である膃
肭獣の乾物に似ているので、人間も変れば変るものだと思うだけ....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
練にかかったところ、大変なやつが一匹いる。どうも見りゃ海豹ではない。といって、膃
肭獣でもない、海驢でもない。海馬でもなし、海象でもない。さだめしこれは、新種奇獣....
「黒猫」より 著者:島木健作
はねる恰好や、病牛の遠吠のような声を思い出すうちに本当に嘔吐をもよおして来た。膃
肭というような文字そのもの、ハーレムという語感そのものが、堪えがたくいやらしかっ....
「戦時旅行鞄」より 著者:海野十三
んと地面へ落ちて、いやというほど腰をうちつけた。それでも彼は助かりたい一心で、膃
肭獣の如く両手で匐って、そこを逃げだした。 「とにかく金よ、お前も長途の旅行で疲....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
手、手だ。手を抜いてください」 女は両眼をクワッと開いて、彼の方に、動物園の膃
肭臍のように身悶えした。眉を青々と剃りおとした女の眼は、提灯のように大きかった。....
「古狢」より 著者:泉鏡花
―その劃の外側を廻って、右の権ちゃん……めくら縞の筒袖を懐手で突張って、狸より膃
肭臍に似て、ニタニタと顕われた。廓の美人で顔がきく。この権ちゃんが顕われると、外....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
女群のなかには、アルジェリイかどこか植民地産らしい黒人の女もいた。水に濡れて、膃
肭臍のように光っていた。それがみんな、水中の必要に応じて思い切り行動する――その....
「露肆」より 著者:泉鏡花
窘んで、浮足の靴ポカポカ、ばらばらと乱れた露店の暗い方を。…… さてここに、膃
肭臍を鬻ぐ一漢子! 板のごとくに硬い、黒の筒袖の長外套を、痩せた身体に、爪尖ま....
「深川女房」より 著者:小栗風葉
ど……あれからすぐ船へ乗り込んで横浜を出て、翌年の春から夏へ、主に朝鮮の周囲で膃
肭獣を逐っていたのさ。ところが、あの年は馬鹿にまた猟がなくて、これじゃとてもしよ....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
の木兎の家の窓から顔が出る。――円い眼だ。あ。 「君、君、白秋くうん、そのぉ、膃
肭獣は何処にいるんだね。」 「膃
肭獣かい。」 そうだ、此処は海豹島なのだ。 ....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
が三、四人集まっていた。がそんなことはどうでもよい。それよりも僕を驚かしたのは膃
肭獣供養塔というものの立っていたことである。僕はぼんやりこの石碑を見上げ、何かそ....