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肱
「肱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
肱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
プの光を浴びて、妙に幽霊じみた姿を具えていた。が、彼は私と顔を合わすと、昔風に両
肱《りょうひじ》を高く張って恭《うやうや》しく頭《かしら》を下げながら、思ったよ....
「一房の葡萄」より 著者:有島武郎
《きゅう》で一番大きな、そしてよく出来る生徒に「ちょっとこっちにお出《い》で」と
肱《ひじ》の所を掴《つか》まれていました。僕の胸は宿題をなまけたのに先生に名を指....
「星座」より 著者:有島武郎
きってみえた父は、最後の努力でもするように、おせいの方に向きなおって、膝の上に両
肱《りょうひじ》をついて丸っこくかごまった。
「おせい……」
鼻をすすりながら....
「親子」より 著者:有島武郎
なものの言い方をされると、彼も思わずかっとなって、いわば敵を前において、自分の股
肱を罵る将軍が何処にいるだろうと憤ろしかった。けれども彼は黙って下を向いてしまっ....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
不乱に聖母を念じた。 ふと光ったものが眼の前を過ぎて通ったと思った。と、その両
肱は棚のようなものに支えられて、膝がしらも堅い足場を得ていた。クララは改悛者のよ....
「聖書」より 著者:生田春月
来た時、Kさんは安楽椅子にずっと反身になって、上靴をつけた片足を膝の上に載せて、
肱をもたげて半ば灰になった葉巻を支えながら、壁に掲げたロセッティの受胎告知の絵の....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
階|借した小僧の叔母にあたる年寄がある。 水の出盛った二時半頃、裏|向の二階の
肱掛窓を開けて、立ちもやらず、坐りもあえず、あの峰へ、と山に向って、膝を宙に水を....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
ったばかりで、もう堪らなく擽ったい。どうも、ああ、こりゃ不可え。」 と脇腹へ両
肱を、しっかりついて、掻竦むように脊筋を捻る。 「ははははは、これはどうも。」と....
「女客」より 著者:泉鏡花
皮肉を言わないで、坊やは?」 「寝ました。」 「母は?」 「行火で、」と云って、
肱を曲げた、雪なす二の腕、担いだように寝て見せる。 「貴女にあまえているんでしょ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
しい。……ばかりではない。 一人、骨組の厳丈した、赤ら顔で、疎髯のあるのは、張
肱に竹の如意を提げ、一人、目の窪んだ、鼻の低い頤の尖ったのが、紐に通して、牙彫の....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
よく来たねえ。」 「その事で。ああ、なるほど言いましたよ。」 と火鉢の縁に軽く
肱を凭たせて、謙造は微笑みながら、 「本来なら、こりゃお前さんがたが、客へお世辞....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
うことかくのごときは、打ちつけにものをいうべき次第であるまい。 そこで、卓子に
肱をつくと、青く鮮麗に燦然として、異彩を放つ手釦の宝石を便に、ともかくも駒を並べ....
「狂女」より 著者:秋田滋
ような寒い日のことだった。痛風がおきて僕自身も身動きが出来なかったので、ぼんやり
肱掛椅子に凭りかかっていた。折しも僕は重々しい律動的な跫音をきいた。普魯西の軍隊....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
かた同じ場所に置いてある家具のいつ見ても変らぬ恰好、新らしかった頃から知っている
肱掛椅子の擦り切れたあと、自分の部屋の匂い(家というものには必ずその家独特の匂い....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
の男だった。鐙が短かったので、両膝が鞍の前輪にとどくほど高くあがった。彼の尖った
肱はばったの足のように突きだし、鞭はその手に真直ぐに立て、笏をもつような恰好だっ....