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「育ち〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

育ちの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
食って育った少年だった。田舎は――殊に水田の多い、本所の東に開いた田舎はこう言う育ちかたをした彼には少しも興味を与えなかった。それは自然の美しさよりも寧ろ自然の....
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
んなことも一時は疑深い彼女の心に影を落した。が、四五日いるうちにそれは全然お嬢様育ちのお鈴の手落ちだったのを発見した。彼女はこの発見に何か満足に近いものを感じ、....
或る女」より 著者:有島武郎
、事務長がどうしたというのだ。母の胎《はら》を出るとそのままなんの訓練も受けずに育ち上がったようなぶしつけな、動物性の勝った、どんな事をして来たのか、どんな事を....
或る女」より 著者:有島武郎
みを見せた。 「あなたがわたしほんとうにうらやましゅうござんすわ。平和な家庭にお育ちになって素直《すなお》になんでも御覧になれるのはありがたい事なんですわ。そん....
小さき者へ」より 著者:有島武郎
お前たちが大きくなって、一人前の人間に育ち上った時、――その時までお前たちのパパは生きているかいないか、それは分らない....
片信」より 著者:有島武郎
を、力強く推定した点においては、実に驚嘆に堪えないものがある。しかしながら彼らの育ち上がった環境は明らかに第四階級のそれではない。ブルジョアの勢いが失墜して、第....
星座」より 著者:有島武郎
ごろにか純次やおせいと一本ずつ山から採ってきて植えた落葉松《からまつ》が驚くほど育ち上がって立っていた。鉄鎖《てつさ》のように黄葉したその葉が月の光でよく見えた....
宣言一つ」より 著者:有島武郎
想感したら、それは第四階級の人の誤算である。第四階級者以外の生活と思想とによって育ち上がった私たちは、要するに第四階級以外の人々に対してのみ交渉を持つことができ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
にいう。ちょうどこの時代――この篇、連載の新聞の挿絵受持で一座の清方さんは、下町育ちの意気なお母さんの袖の裡に、博多の帯の端然とした、襟の綺麗な、眉の明るい、秘....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ないのですが、それでも山狩りが何よりの道楽なのでした。まして筋骨の逞ましい、武家育ちの私の良人などは、三|度の食事を一|度にしてもよい位の熱心さでございました。....
真夏の夢」より 著者:有島武郎
えると、ワン、ツー、スリー、拡大のガラスからのぞきさえすれば、見るまに背の高い、育ち上がったみごとな大男になってしまいました。 こんなおもしろい窓ではあります....
醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
ない様にしてみんなが気を配ってる証拠なの。さあさ、そんなに趾を内側に曲げないで。育ちのいい家鴨の子はそのお父さんやお母さんみたいに、ほら、こう足を広くはなしてひ....
久保田万太郎氏」より 著者:芥川竜之介
児の全面に近きものの如し。僕は先天的にも後天的にも江戸っ児の資格を失いたる、東京育ちの書生なり。故に久保田君の芸術的並びに道徳的態度を悉理解すること能わず。然れ....
東京に生れて」より 著者:芥川竜之介
れるものとの間に、或る新鮮さがなければならない。ところが、僕は東京に生れ、東京に育ち、東京に住んでゐる。だから、東京に対する神経は麻痺し切つてゐるといつてもいゝ....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
ポプラァが何本かそよいでいた。(この界隈は土の痩せているためにポプラァ以外の木は育ち悪かったのである。)僕はそこへ通っているうちに英語や数学を覚えた外にも如何に....