育て[語句情報] »
育て
「育て〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
育ての前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「春の夜」より 著者:芥川竜之介
重いのは雪さんよりもむしろ清太郎だった。
「あたしはそんな意気地《いくじ》なしに
育てた覚えはないんだがね。」
女隠居は離れへ来る度に(清太郎は離れに床《とこ》....
「不思議な島」より 著者:芥川竜之介
ね?」
老人「大騒ぎですとも。誰でも大市に間《ま》に合うように思い思いの野菜を
育てるのですからね。燐酸肥料《りんさんひりょう》をやる、油滓《あぶらかす》をやる....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
ん》の疫病に父母共世を去って以来、この茂作と姉弟二人、もう七十を越した祖母の手に
育てられて来たのだそうです。ですから茂作が重病になると、稲見には曽祖母《そうそぼ....
「捨児」より 著者:芥川竜之介
「それから和尚はこの捨児に、勇之助《ゆうのすけ》と云う名をつけて、わが子のように
育て始めました。が、何しろ御維新《ごいしん》以来、女気《おんなけ》のない寺ですか....
「或る女」より 著者:有島武郎
《うば》の家に引き取るようにしてやった。そしてそのみじめな赤ん坊は乳母の手一つに
育てられて定子《さだこ》という六歳の童女になった。
その後葉子の父は死んだ。母....
「或る女」より 著者:有島武郎
つお前の妹たちを家に呼ぼうじゃないか……それからお前の子供っていうのもぜひここで
育てたいもんだな。おれも急に三人まで子を失《な》くしたらさびしくってならんから…....
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
なくなった。
それは初雪のどんどん降りしきる夜の事だった、お前たち三人を生んで
育ててくれた土地を後《あと》にして旅に上ったのは。忘れる事の出来ないいくつかの顔....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
よ。さあ、どこでも非難をして見ろ、と裸体で見せて差支えの無いように、己と、謹とで
育てたんだ。 何が可恐い? 何が不平だ? 何が苦しい? 己は、渠等の検べるのよ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
やがて船底にじゃりじゃりと砂の触れる音が伝わった。船は滞りなく君が生まれ君が
育てられたその土の上に引き上げられた。 「死にはしなかったぞ」 と君は思った。同....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
との凡てを捨てて私に立ち帰れ。お前は生れるとから外界と接触し、外界の要求によって
育て上げられて来た。外界は謂わばお前の皮膚を包む皮膚のようになっている。お前の個....
「橋」より 著者:池谷信三郎
それに、家名だとか、エチケットだとか、そういう無意義な重荷を打ち壊す、強い意志を
育ててくれる、何らの機会も環境も、私たちには与えられていなかったの。私たちが、持....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
女の児があったのみで、それが私なのでございます。従って私は小供の時から随分大切に
育てられました。別に美しい程でもありませぬが、体躯は先ず大柄な方で、それに至って....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
鹿子、匹田、絞の切、色の白い細面、目に張のある、眉の優しい、純下町風俗のを、山が
育てた白百合の精のように、袖に包んでいたのは言うまでもない。…… 「……その大島....
「私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
こかで聞いたとみえ畑仕事から帰ると目から火の出るほどしかられた。母として丹精して
育てたわが子の無謀が許せなかったのだろうが、私は恐れをなして外に逃げ、後で家に帰....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
ました。そして太郎右衛門には五枚だけ渡して、 「お前に子供がないわで、この子供を
育てたらよかべい。」 と言いました。 太郎右衛門は、その時伊作に向って、 「己....