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育ての親
「育ての親〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
育ての親の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「竹青」より 著者:太宰治
よい縁だ、と傍若無人に勝手にきめて、魚容は大いに迷惑ではあったが、この伯父もまた
育ての親のひとりであって、謂わば海山の大恩人に違いないのであるから、その酔漢の無....
「三の字旅行会」より 著者:大阪圭吉
の父親は、幸運に恵まれて大変な金持になっていたんですが、ふとしたことからその娘の
育ての親にめぐり会い、娘の亡くなるまでの可哀想な話を初めて聞かされると、あとに子....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
っている。 復一が六年前地方の水産試験所を去って、この金魚屋の跡取りとして再び
育ての親達に迎えられて来たときも、まだこの谷窪に晩春の花々が咲き残っていた頃だっ....
「冬の花火」より 著者:太宰治
(数枝)(皆まで聞かず)そんな事、そんな事ないわ。ねえ、お父さん。生みの親より
育ての親、と言うでしょう? あたしの生みの母は、あたしが今の睦子よりももっと小さ....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
、暗く沈みかけている北の空を指さしながらひとり言。 「なるほどなア、産みの親より
育ての親というくれえのもんだ。おふくろだというあのお蓮さんが急にけえってきて、木....
「新樹の言葉」より 著者:太宰治
年はなれていたので、つるが死んでも生きても、私の実感として残っているのは、懸命の
育ての親だった若いつるだけで、それを懐しむ心はあっても、その他のつるは、全く他人....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ますまい。 農夫と作物とは、収穫する人と、収穫せらるる物との関係ではなくして、
育ての親と、育てられる子との関係でありました。 ある年のこと、浮塵子《うんか》....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
かなくちゃいけねえ。親は無くても子は育つんだからなあ、それ、世間でも生みの親より
育ての親と言うだろうじゃねえか、拾って下すって、今日まで面倒を見て下すったその御....
「源氏物語」より 著者:紫式部
いると源氏は思った。そう思うのがもっともであるとも思った。 「では、親のない子は
育ての親を信頼すべきだという世間の言いならわしのように私の誠意をだんだんと認めて....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
リゴリイの手にかかって、下男小屋へ引き取られたのであった。二人の母の恩人であり、
育ての親であった強情者の将軍夫人が彼らをはじめて見たのも、やはり、この下男小屋で....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
かしたくさんの子供に取り囲まれてる母親を持ってる者はないか。君らのうちで、かつて
育ての親の乳房《ちぶさ》を見なかった者があるならば、手をあげてみたまえ。諸君はこ....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
会を生んだ。固より私を中心としての学生会であるから、私は生みの親であるが、晩香は
育ての親であった。学生の晩香を追慕する情は誠に涙ぐましいものがある。晩香亡き後、....
「三人の師」より 著者:上村松園
きの幼時から手をとって教えられ一人あるきが出来るようにまで育てあげられた、いわば
育ての親とも言うべき大切な師なのである。 松年先生の画風というのは四条派のしっ....
「望郷」より 著者:服部之総
評価した論文が今年、札幌の歴研会員松井煎君によって発表されている)、北海道畜産の
育ての親エドウィン・ダンも、みなケプロンの推薦で赴任した斯道《しどう》一流の人士....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
ままなら、ただの禍です。それに励まされて圧倒するほどの力が養えたら、誤解は却って
育ての親です。是非とも私たちは逞しい持ち前の心を奮い起し、誤解に却ってお礼を言う....