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肴
「肴〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
肴の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
ことはなかった。いや、寧ろ人並みよりも内気な女と思っていた。が、東京の或る場末に
肴屋《さかなや》をしているお芳の兄は何をたくらんでいるかわからなかった。実際又彼....
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
を前にうっとりと、どこかの歌の声に聞き入っていると、陽気な趙生は酢蟹《すがに》を
肴に、金華酒《きんかしゅ》の満《まん》を引きながら、盛んに妓品《ぎひん》なぞを論....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
――」
お蓮は犬を板の間《ま》へ下《おろ》すと、無邪気な笑顔を見せながら、もう
肴《さかな》でも探してやる気か、台所の戸棚《とだな》に手をかけていた。
その翌....
「葱」より 著者:芥川竜之介
、刹那に眼底を払って消えてしまった。その代り間代《まだい》、米代、電燈代、炭代、
肴代《さかなだい》、醤油代、新聞代、化粧代、電車賃――そのほかありとあらゆる生活....
「たね子の憂鬱」より 著者:芥川竜之介
かった。そこにはシャツ一枚の男が一人「食堂」の女中とふざけながら、章魚《たこ》を
肴《さかな》に酒を飲んでいた。それは勿論彼女の目にはちらりと見えたばかりだった。....
「魚河岸」より 著者:芥川竜之介
合いに、同じ卓に割りこませて貰《もら》った。それから平貝《たいらがい》のフライを
肴《さかな》に、ちびちび正宗《まさむね》を嘗め始めた。勿論|下戸《げこ》の風中や....
「或る女」より 著者:有島武郎
いけませんから」
そういいながら葉子は手あぶりに火をついで持って来た。そして酒
肴《しゅこう》もそこにととのえた。
「色が悪いはず……今夜はまたすっかり向かっ腹....
「星座」より 著者:有島武郎
また独りごちて、狸《たぬき》小路のいきつけの蕎麦屋《そばや》にはいった。そして煮
肴《にざかな》一皿だけを取りよせて、熱燗を何本となく続けのみにした。十分に酔った....
「初めて見たる小樽」より 著者:石川啄木
ろて》を挙げて讃美する者である。自由と活動と、この二つさえあれば、べつに刺身や焼
肴《やきざかな》を注文しなくとも飯は食えるのだ。 予はあくまでも風のごとき漂泊....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
て、小刻に襖の際。 川千鳥がそこまで通って、チリチリ、と音が留まった。杯洗、鉢
肴などを、ちょこちょこ運んで、小ぢんまりと綺麗に並べる中も、姉さんは、ただ火鉢を....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
温泉の出口を通るんでございますが、場所はソレ件の盆地だ。私が飲んでいました有合御
肴というお極りの一膳めしの前なんざ、小さな原場ぐらい小広うございますのに――それ....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
を。 顔を見合わせて此方も笑い、 「はははは、松が大層待っていました。先生のお
肴を頂こうと思って、お午飯も控えたって言っていましたっけ。」 「それだ。なかなか....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
わ、此店へ返して、ね。」 と言った。 「青牛よ。」 「もう。」 「生白い、いい
肴だ。釜で煮べい。」 「もう。」 館の電飾が流るるように、町並の飾竹が、桜のつ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
高田、老婆お録、三人の者|入来りぬ、程好き処に座を占めて、お録は携え来りたる酒と
肴を置排べ、大洋燈に取替えたれば、室内照りて真昼のごとし。得三その時膝押向け、「....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
落ちた何軒かの「しにせ」は残っていた。僕はこの「馬車通り」にあった「魚善」という
肴屋を覚えている。それから又樋口さんという門構えの医者を覚えている。最後にこの樋....